約 2,800,429 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/604.html
※舞台は何故かゆっくりが当然のように存在している外界です。 ※オリ設定満載です。 ※ぬるいじめです。そして割と愛で気味です 数年前に突如現れ、急速に社会に浸透していった(ような気のする)ゆっくりと呼ばれる新たなる生命体。 人間の生首が膨張したような容姿のそいつらは饅頭のクセに生きていたり、どこから来たのは全く不明だったりとあまりに謎が多すぎる。 が、目新しいものや珍しいものを好む人々はその「ゆっくりしていってね!」とか「ゆーっ!」などと珍妙な鳴き声をあげる未知の存在をあっさりと受け入れた。 そして私はそんな不思議に満ちた生物とはこれと言った縁もない普通の女子大生だ。 「やっぱり頑張った自分へのご褒美は塩辛に限るわ。む~しゃむ~しゃ、うめ~」 忌々しい試験期間を無事かどうかはまだ分からないが乗り切った私は、昼間っから大学の敷地内のベンチで塩辛をつまみながら、ビールを飲んでいた。 「んぐんぐんぐ・・・ぷはぁ!ZUNビールうめぇ!めっちゃうめぇ!」 彼氏は居ないし、友達も女同士の友情そっちのけで男とデート。 そんなわけで私は一人寂しくビールをかっくらっていた。何で大学でとか、そんな野暮なことは聞くな! 「ゆっくりしていってね!」 「んあ?」 すると突然何者かが声をかけてきた。 声の主のほうに視線をやるとそこには体高20cm程度の、赤いリボンがトレードマークの餡子生命体“ゆっくりれいむ”がいた。 「なんだ、ゆっくりか」 イケメンだったら良かったのに。まあ、イケメンが昼間からこんなところで酒盛りしてる奴に声をかけてくるわけがないんだけどさ。 「ゆゆっ!おねーさんはゆっくりできるひと?」 「ゆっくりせざる得ない人だよ、悪いか?」 人間の気持ちなんて何一つ理解しちゃいないド饅頭をねめつけつつ、ビールを胃袋に流し込む。 「ゆ!よかったね、おねーさん!れいむがゆっくりできるおねーさんといっしょにいてあげるよ!」 「そうかい、そうかい・・・そいつはどーも」 鬱陶しそうに、なおかつ投げやりに応えるが相手は所詮餡子脳生物ゆっくりだ。邪険にされていることに全く気付いていない。 そして、ぽよんとベンチに飛び乗って私の太ももに頬を摺り寄せると・・・ 「ねえ、おねーさん!それちょうだい!」 厚かましくも私の自分へのご褒美の塩辛を要求してきやがった。 「だめだめ、あんたにやる塩辛はないよ」 しっし、と手を振ってあっちに行けと訴えるが、れいむは全く諦めようとしない。 「ゆううううう!!」 ぷくぅっと頬を膨らませて私を威嚇し始めた。 結構膨らむのな。見た感じ体積が1.5倍くらいにはなっている。 とは言え、そんなものが私に有効なわけが無い。 「おいおい、人にもの要求するときに態度か、それ?」 苦笑しながら膨らんだ頬を突いてみる・・・・・・柔らかい! 「おおぉ・・・!」 あまりに触り心地が良かったので、調子に乗って突っつきまくる。 「ぽーにょぽーにょぽにょ、アホまんじゅう~♪」 「ゆっ!おえーさん、やめ、やっ、や、ゆっくりっ、やめてね!」 そんな感じで遊んでいると、れいむは相変わらず頬を膨らませながらも嫌そうな表情を浮かべて文句を言ってきた。 「やだ」 満面の笑みを浮かべて即答してやった。 と言うか、そんな風に言われたら・・・やるしかない、って気分になるじゃないか! 「うりうりうりうりうり~♪」 「ゆうぅ~!おねーさん、おねがいだよ!ゆっくりやめてね!」 もう頬を膨らますのを止めていたれいむは、目に少し涙を浮かべながら懇願する。 しかし、そのうっとうしくも愛らしい表情が私の中に眠るSっ気に火をつけた。 「や~だ~」 つんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつん・・・ 「ゆぅぅぅぅぅっぅぅぅぅぅううううううう~!?」 手を止めるつもりが微塵も無いことを悟ったれいむは少しずつ後ずさって行く。 そして、私の手はそれを追いかけながら執拗に頬を突きまくる。 「ゆううううううううう!?」 ぽろぽろと涙を零しながらも必死に後退し続けたれいむは、勢いあまってベンチから落下してしまった。 「ゆぐっ!?」 「あ・・・お~い、大丈夫か?」 落下したれいむの様子を伺うためにベンチから身を乗り出すと、底の部分を空に向けた逆立ちのような格好でれいむがひっくり返っていた。 「ゆわああああああああああん!おねーさんのばかぁ~・・・!ゆっぐ・・・!・・・ゆっぐ」 あらら、大泣きしちゃったよ。 その姿は流石に可哀そうだったし、私自身調子乗りすぎた節もある。 だから、れいむを抱え上げると膝の上に乗せて、頭に怪我が無いか見てあげた。 「あ~・・・ここ、ちょっとコブになってるなぁ~」 「ゆっ!?おねーさん、いだいよお゛お゛お゛お゛!」 どうやらコブに触れてしまったらしく、れいむはまた大声で泣き始めた。 「あははははは~・・・悪い悪い。さっき欲しがってた塩辛あげるから、それで許してくれないか?」 その言葉を聞いた途端、れいむはとても嬉しそうに微笑む。もしかして、私はゆっくりの嘘泣きに騙されたか? まあ、いいかと心の中で呟きながら、塩辛の蓋を開け、箸でつまんで膝の上のれいむの口へ持っていってやった。 「ゆゆっ!むーしゃむーしゃ、しあわ・・・ゆうううううう!?」 れいむは4,5回咀嚼してから、クワッと目を見開いて、塩辛を吐き出した。汚いなぁ・・・そしてもったいない。 「ゆんゆんっ!おねーさん、こんなしょっぱいのたべられないよ!!」 「ん?そうか、口に合わなかったかぁ~」 「ゆぅ!ほかにないの?!」 よっぽど口に合わなかったのか頬を膨らませて怒りをアピールしながらも舌を出しっぱなしにしている。 器用なやっちゃ。 「他?そうだなぁ・・・」 ガサゴソと近所のスーパーの袋を漁ってみると、何故か売っていたジョロキア、たこわさ、焼きスルメ、カカオ99%のくそ苦いチョコレート、メントスとダイエットコーラなどが出てきた。 あとは500mlのZUNビールが4本ほど入っている程度だ。 「じゃあ、たこわさでも食うかい?」 「ゆぅ?それおいしいの?」 「ああ、美味しいよ」 首をかしげるれいむに微笑みながらたこわさを取り出してさっきと同じように口の中に放り込んだ。 「むーしゃむーしゃ、しあわ・・・ゆぎゅうううううう!!?」 あ、また吐き出した。人の膝の上で吐き出すものだから私の安物のジーンズが汚れてしまっている。 「あんたねぇ・・・食べ物を粗末にしすぎだよ?」 また、さっきと同じように舌を出しているが、今度はこきざみにぷるぷる震えている。 「だ、だっでぇ・・・ごんなのだべでないよ゛っ!」 「えー、美味しいのに・・・」 そう言って私は2口ほどたこわさを食べる。うん、やっぱり美味しい。 「おねーさん!ちょこあったでしょ?れいむちょこがたべたいよ!」 ああ、本当に厚かましくて可愛いなぁ~。だが、あのチョコは私の夜のおやつなんだ。 「えー」 「ね、おねーさん?」 露骨に嫌そうな顔をする私を潤んだ瞳で上目遣いに見つめてくる。 う~ん、別に可愛いとは思わないな。 「よし、じゃあ・・・お姉さんとじゃんけんで勝負して私が100勝するまでに1回でも勝てたらチョコをあげようか?」 「ゆ!じゃんけんってなに?ゆっくりできるもの?」 おおう、嬉しくなるほど予想通りの反応。とりあえず、私はれいむにじゃんけんのルールを教えてあげた。 「それなららくしょーだよ!おねーさんがいっぱいかつまでにれいむがいっかいかればいいんでしょ?」 「ああ、そういうことだ。それじゃ、さっさと始めるよ?」 そう言うとれいむは思いっきり空気を吸い込んだ。 「じゃんけ~ん、ぱー!」 れいむを見ると思いっきり頬を膨らませている。ちなみに、これは手の無いれいむのために私が決めてあげたグーのポーズだ。 「ゆぅ!まけちゃったよ!」 「よし、一勝!でも、まだまだ99勝もしなくちゃならないからなぁ~・・・」 「ゆゆっ!こんどはまけないよ!」 「よし、それじゃ2回目。じゃんけ~ん、グー!」 グーを出し、れいむを見てみると下を向いて両目を閉じている。これはれいむにとってはチョキに相当する。 「やった、2勝目!」 「ゆううう!また負けちゃったよ!」 「まあまあ、まだまだ先は長いんだし。三回目行くよ?じゃんけ~ん、チョキ!」 れいむは背中を向けている。別にじゃんけんに飽きたわけではない。これがパーのポーズなのだ。 「よし、三連勝!でも、先は長いなあ~」 「ゆゆ!またまけちゃった!でも、まだまだがんばるよ!」 そんな感じで、私とれいむは15分ほどひたすらじゃんけんを続けていた。 そしてその間に私が事前の呼吸や、向きの変更を見てれいむの手を把握していることに気付くことは無かった。 「はっはっは!98連勝!」 「ゆううううううううう・・・」 流石にここまで負け続けてはのん気なれいむも涙目にならざる得ない。 「どぼぢでがでないのおおおおおお!もうやだ!おうちかえる!」 「まあまあ、あと2回だけなんだし。頑張ろうや、な?」 ぽろぽろ涙を零しながらもれいむが「う゛んっ!」と勝負に合意するのを確認すると、再び掛け声をかけた。 「じゃんけん、パー!」 一方のれいむは下を向いて目を瞑っている。つまり、チョキだ。 「ゆ?ゆゆっ!れいむかったの!?」 信じられないといった風な表情で私に確認をとるれいむ。その姿に思わず噴き出しそうになるのをこらえながら応えてやる。 「ああ、そうだよ。お前の勝ちだ。だからチョコレートを食べても良いぞ?」 「ゆゆっ!やったね!これでゆっくりできるよ!」 じゃんけんが終わって、再び膝の上に戻ったれいむは歌らしき何かを口ずさみながら、私がチョコレートを差し出すのを待っている。 「ゆっくりできるよ~、ちょこれーと♪とっても~あまいよ、ちょこれーと♪」 ごめん、このチョコは凄く苦いんだよ。 「はいよ。今度は吐き出すなよ?」 「ゆ!そんなことしないよ!むーしゃむーしゃ、しあわ・・・ゆぶふぇええええええ!!」 奇声を上げながら、れいむは今日一番と言っても過言ではないほど盛大にチョコレートを吐き出した。 エレエレエレエレエレエレエレ・・・。 うわぁ、ついでに餡子も吐き出しやがったよ。ジーパンがグチョグチョだわ・・・まあ、いいけど。 「おいおい、あんた吐き出しすぎ・・・」 呆れながら、お仕置きの意味も兼ねてれいむの両頬をつまんで引っ張ってやる。 「ばっへぇ・・・あほほえーほいがかかったんあほん!」 しかし、この饅頭柔らかいっすねぇ!本当に皮が良く伸びる。 そうやって調子に乗って引っ張っていると 「ほへーはん、ゆっふひやべでね!」 「びろ~ん、びろ~ん、びろりろり~ん♪」 ああ・・・このほっぺの柔らかさは反則だわ。すごく気持ち良い。 「ゆゆっ!まりさのれいむになにをするんだぜ!」 「んあ・・・?」 不意にどこからともなく声が聞こえてきた。辺りを見回して声の主を探すと、そこにはゆっくりまりさが私の足に懸命に体当たりしていた。 「まりふぁ!」 「れいむ、もうすこしのしんぼうだぜ!まりさが、すぐにたすけるんだぜ!」 そう叫びながら必死に体当たりをしているが、全く痛くも痒くもない。それどころか、まりさが作用に対する反作用でダメージを受けている。 その様子を見ていると、なんとなく気の毒になってきたので、私はメントスとダイエットコーラを掲げて、まりさも一緒にゆっくりしないかと提案した。 もちろん、れいむの頬を引っ張るのも止めてあげた。すると、あっさり私のことを許してくれた。 「ゆ!まりさもおねーさんといっしょにゆっくりするぜ!」 「も」とは言うものの、れいむはそんなにゆっくり出来てなかったけどね。 「はいよ」 まりさの口にメントスを10粒ほど放り込んでやる。 「うっめ!めっちゃうめぇ!」 「ゆ!れいむもほしいよ!」 「チョコを全部食べてからだよ」 「ゆううううううううううう!」 「ははっ、冗談だよ。ほら、口をあけて?」 今度はれいむの口にメントスを放り込む。 それから独り酒のつもりが思いのほかにぎやかな酒になったな、などと思いながら2匹にダイエットコーラを飲ませてやった。 「「ゆ~♪」」 口の中にメントスを貯めたまま、コーラを口に含んだ2匹は見た目は意地汚くて見苦しいが、非常にゆっくりしているように見えた。 確かにそう見えたのだが・・・ 「「ぼぉ!?ぼぉぼぼぼおおおおおおぼぼっぼぼおおお!?」」 突然、2匹そろってコーラを噴水の如く吹き上げた。それも、ちょっとゆっくりの常識からは考えられないほどの勢いで。 「・・・・・・はあ、何なんだよ、これ?」 私はコーラまみれで呆然とするしかなかった。そして、傍らではコーラを吹き終えた2匹が再びエレエレしている。 テストも終わったので人通りは少ない。とはいえ、流石にあの噴水が人目を引いたらしく、人が集まってくる。 そうして、いつの何か出来上がっていた人だかりに気付いた私はスーパーの袋と2匹を抱えて、自宅へと逃げ帰った。 「っち、ここじゃゆっくり出来ないね!!」 「で、とっさに連れて帰ってきたけど・・・どうするよ、これ?」 現在独り暮らしをしているアパートに戻って、コーラまみれの体と衣服をどうにかするために風呂場に向かった私は、今になってここがペットの飼育禁止であることを思い出した。 いや、そもそも飼うつもりなんて微塵もないんだけど・・・どっちにしてもこいつら、どうしたものか? 「ねえ、おねーさん!れいむたちべとべとだからからだあらってね!」 「それからみんなでゆっくりしようね!」 なんと言う厚かましさ。だが、そこが良い。何だかくせになるのものがある。 そのゆっくりっぷりを見ていると「さっきのコーラ噴射のことをもう忘れてるのかよ」とか「何で途中でこいつらを捨てなかったんだ」とかそんな疑問は些細なことのように思えてくるよ。 「・・・まあ、何とかなるか?」 とりあえずさっさと服を脱いで、お湯をためながられいむとまりさを洗ってあげる。 「ゆ~、ゆ~♪」 「気持ち良いか?」 「ゆ!すっごくきもちいいよ!」 「そうかそうか。そりゃ良かった。でも、お前ら水苦手なんじゃなかったっけ?」 「ずっとつかってるとあぶないよ!でも、みずあびはすきだよ!」 浴場の床にあぐらをかいて、足の上にれいむを乗せた格好で、桶に溜めたぬるま湯でタオルを濡らして、丁寧にれいむの体を拭いてやる。 まりさはその傍らで、気持ちよさそうに目を細めるれいむをじっと見守っている。 「ゆゆっ!おねーさん!そのぬるぬるすごくきもちいいよ!」 当然といえば当然だが、こいつらにとってボディソープやシャンプー、リンスを使うのは初めての体験だろう。 そのあまりの気持ち良さにうっとりとしている。途中、シャンプーが目に入って絶叫していたのはご愛嬌か。 2匹を洗い終えてから、私自身の髪や体を洗い、それから2匹と1人で湯船につかる。 と言っても、れいむとまりさを湯の中に放り込むわけにはいかないので、れいむには風呂桶に入ってもらい、まりさは私が抱きかかえることにした。 外よりもずっと温かい風呂場でほっと一息をつく。 「おねーさん、すごくやわらかいね!」 生意気にも私の胸に頬ずりしながらそんなことを抜かすのは抱きかかえられているまりさ。 「・・・ん~、そうか?」 もっとも、そんなことを言われたところで自分では良く分からないのだが。 「うん、れいむのほっぺよりきもちいいよ!」 普通なら「パートナーに怒られるぞ」とか「ゆっくりと比べんじゃねえ」とか「もう、まりさってばえっちぃ」とでも反応するところなのだろうか。 しかし、私はれいむの頬の触り心地を思い出しながら、痴漢をする男の心境がなんとなく理解できるなぁ、なんてことを考えながら「そりゃ、どうも」と適当に返事しておいた。 それからまりさの頬をひっぱって、その柔らかさにしばし感動し、「愛でお兄さんはおっぱいフェチなんだろうか?」などとくだらないことを考えながら、風呂から上がった。 私が着替えのためにリビングに向かうと、先に体を拭いてやったれいむとまりさがソファの上でゆっくりしていた。 なんとなく枕にしたら気持ちよさそうだな、と思った時にはすでに2匹を枕にしていた。 そして、ちょっと昼寝のつもりが6時まで寝てしまった。れいむとまりさには「おもくてあんこがもれそうだったよ、ぷんぷん!」と怒られた。 それなら起こして言ってくれればよかったのに、と反論したら「おねーさんがぜんぜんおきなかったんだよ!」と更に怒られた。 でも、晩飯を一緒に食べようと提案したらあっさり許してくれた。流石は餡子脳だ、可愛いなぁ。 そんなわけで現在午後7時13分。テーブルの上にはしょうが焼きと味噌汁とほうれん草のおひたしと梅干の乗ったご飯、それかられいむとまりさのために作ったおにぎりが置かれていた。 私が手を合わせて「いただきます」と言うと、れいむ達もそれに倣う。 「「いただきま~す!」」 ちなみに、れいむ達のご飯は握りこぶし大のおにぎりが5つ。 右から焼きスルメおにぎり、塩辛おにぎり、たこわさおにぎり、カカオ99%チョコおにぎり、そしてジョロキアおにぎり。 具になりそうなものが無かったので、見ての通り、さっき酒のつまみに買ってきたものを入れてみたのだが・・・ 「む~しゃむ~しゃ、しあわせ~!」 「うっめ、これめっちゃうめぇ!」 焼きスルメは好評。若干辛みがあるとは言え、子どもで平気で食べられるものだからさすがに大丈夫だったようだ。 「ゆ!かたい!かたいよ!」 「かみきれないよー!」 と、思ったんだが・・・どうやらゆっくりの歯ではスルメを噛み切れないらしい。 どれだけ貧弱なんだお前ら。 「むーしゃむーしゃ、しあわせ~!」 「うっめ、これめっちゃうめぇ!」 次の塩辛おにぎりとたこわさおにぎりは意外に好評だった。 どうやら、ご飯がいい具合に辛さなどのゆっくりが苦手とする味に対する緩衝材になったらしい。 けれど、おいしそうにおにぎりを食べる二匹を見たとき、正直ちょっとだけつまらないなぁと思ってしまった。 虐待趣味は無いつもりだったんだけどなぁ・・・。 「れいむ、にんげんのごはんはおいしいね!」 「そうだね、まりさ!つぎのおにぎりもきっとおいしいよ!」 次のおにぎりはカカオ99%チョコレートおにぎり。人間だったらこの組み合わせを見ただけでしかめっ面をしそうな代物だ。 「むーしゃむーしゃ、しあわ・・・ゆぎゅううううううう!!」 「うっめ、これめっちゃうげえええええええええええええ!!」 やっぱり、このチョコレートの苦みはゆっくりにとっては毒にも等しいものらしい。 ご飯のおかげでさっきのようにエレエレすることはなかったが、テーブルの上を苦しそうに転げまわっている。 「おーい、大丈夫か~?」 「ゆべっ!だいじょうぶじゃないよ!どうしてにがいのいれるの!」 「ひどいんだぜ、おねーさん!まりさたちおこるぜ、ぷんぷん!」 もう何度目になるかもわからない怒りのアピール。このぷくぅと頬を膨らませる姿が可愛くて仕方ない。 「あはは、余ってたもんだから勿体無いと思って、ついね・・・ごめんな」 顔の高さで手を合わせて少し頭を下げるようなしぐさを交えつつ、素直に謝るとれいむ達はあっさりと許してくれた。 「ゆぅ・・・はんせいしてるならいいよ!」 「れいむ、さいごのいっこもたべちゃうんだぜ!」 「ゆ、そうだね!むーしゃむーしゃしあああああああああああああああああああああああああああああああ!!」 「うっめ、これめっちゃああああああああああああああああああああああああああああああ!!」 何だその絶叫?と突っ込んでやりたいところだが、この後エレエレするのは火を見るより明らかなので、その前に二匹の頭を掴んで、互いを正面から密着させる。 エレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレ・・・ エレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレ・・・ 本日何度目になるかも覚えていないエレエレタイム。しかし、今回は2匹の口がぴったりとくっついているので、それが周りのものを汚すことはなかった。 「・・・エレエレエレエレ・・・むーしゃむーしゃ、しあわせ~!」 「・・・エレエレエレエレ・・・うっめ、これめっちゃうめぇ!」 「エレエレしたものを、食うなっ!!」 気がついたときには電光石火の突っ込みでこピンを放っていた。 ゆっくりで遊ぶのに夢中になっていて、気がつけば日付が変わっていた。 そのことに気づいた私は思わず顔をしかめる。 「うわぁ・・・もうこんな時間か。さっさと寝よ」 明日は1限目から授業があり、それに夕方からはバイトもある。 だから今日は早めに寝て明日に備えるつもりだったのだが・・・新しいおもちゃの魔力は想像を絶するものだったのだ! 帰宅した時点ですでにお気に入りのピンクのストライプ柄のパジャマに着替えていた私は電気を消して、もそもそと布団にもぐりこむ。 が、私の枕元でれいむたちが泣きじゃくるので簡単に寝付けなかった。 「ゆううううう!くらいよおおお!こわいよおおお!!」 「おねーざん、あがるぐぢでえええええええええ!おばげがででぐるよー!!」 こいつらがやたらと怯えているのには理由がある。 その理由というのは8時ごろから観始めた『ゆ霊の盆踊り』という映画だ。 登場人物が全員ゆっくりで、その斬新過ぎる試みと、どうしようもない演技と、ホラーとは無縁のふざけた笑顔などさまざまな要素があいまって映画史に名を残した伝説の作品だ。 もちろん、映画関係者どころか、映画に関する知識なんてろくに持ち合わせていない一般人からも非難轟々。 そんなわけで、本来ならば映画館で上映されることすらありえなかったのだが、この作品には有名な美人女社長率いるゆっくりカンパニーという強力な後ろ盾があったため、無事上映にこぎつけたという。 聞くところによれば、この映画は「ペットのゆっくりと一緒に鑑賞できる」&「(良くしつけられた)ゆっくりの館内限定貸し出し」というサービスを行っていたらしい。 そして、私はその目的も効果も存分に味わう羽目になった。 「おばけさんこわいよおおおおおおお!!」 「あ、ありすこわいいいいいいいい!」 「で、でいぶがあああああああああ!!」 「おねーざんー、ごわいいいいいいい!!」 「「ごれじゃゆっぐぢでぎないよ!!」」 などなど、終始こんな調子で泣き叫びながら、私にすがり付いてくる。 そりゃ、この作品が上映される前のゆっくりの知名度が低かったころなら、この姿にだまされて飼いたくなる人もいただろうな。 以上が今までにも毎日のように接してきた宵闇をこの2匹が恐れる理由だ。要するにお化けが怖いらしい。 どうせ、ほっときゃそのうち寝るだろ。 そう判断した私は心頭滅却して2匹の泣き声を風の音か何かと思い込んで、とっとと寝ることにした。 「はいはい、おやすみ」 「「おねえざあああああああああああああああああああああああああん!ねぢゃいやあああああああああああ!!」」 そんな感じで、翌朝・・・ 「「「「「「ゆっきゅりちちぇっちぇね!」」」」」」 「・・・なに、このちょーてんかい?」 朝の日差しにたたき起こされた私の寝ぼけ眼に映ったのは産まれたてと思しきゆっくりの赤ん坊。 その数れいむ種3匹、まりさ種3匹の6匹。 「おねーさん!れいむのあかちゃんかわいいでしょ!」 「すごくゆっくりしたこだよ!これでおねーさんもゆっくりできるね!」 すまん、私にも・・・というか私でもわかるように説明してくれ。 「ゆゆっ!れいむたちね、よるすごくこわかったんだよ!」 ああ、怖がってるの無視して電気消して寝たからなぁ・・・・・・で? 「だからね、れいむとはなしてたらわかったんだぜ!おねーさんはゆっくりしたいからむしするんだって!」 まあ、睡眠ってのは人間の三大欲求なわけで、確かにその欲求を満たしたかったから無視して寝るという選択をゆっくり的に解釈すればそうなるだろう。 「それでね、おねーさんはゆっくりできればれいむたちをむししないんだよ!」 ・・・なぜ決定事項なんだ? 「だからまりさたちのゆっくりしたあかちゃんをみせてあげることにしたんだぜ!」 つまり、そういう事らしい。 ・・・・・・どういうことだよ。 「あぁ、やっぱりゆっくりの考えることはわからんわ・・・」 私はこのおちびもを捨てた場合の処理代やら、飼う場合の餌代やらを計算しながら頭を抱えることしかできなかった。 ---あとがき?--- たまにはぬるいじめでも、と思って書いてみた結果がこれだよ! どうでもいいことだけど、作中のおねーさんはドスなおっぱいの持ち主です。 byゆっくりボールマン 続き このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1150.html
3分ゆっくりクッキング 「押しゆっくり」 用意するもの テニスボール大の子ゆっくり・・・3~4匹 小麦粉・・・適量 水・・・適量 木枠 押し蓋 まず、用意した子ゆっくり達をぬるま湯で丁寧にあらいます。 ここで子ゆっくり達が「しゅっきりー!」とか笑顔でいいますが、この後の展開を想像して ニヤニヤしましょう。 全て洗い終わったら、あらかじめ用意した木枠へと子ゆっくりを1匹入れます。このとき髪飾り をはずすのを忘れないように。 「れ”いむ”のりぼんがえじでぇ~!」 とか叫んできますが、無視して押し蓋を取り出しましょう。ゆっくりと上から満遍なく力をかけていきます。 このとき、いかにゆっくりの皮を破らずに押しつぶすのがおいしさの秘訣です。 ある程度ゆっくりの形が、木枠に沿うようになったら、小麦粉に水を加えペースト状にします。そのペーストを 角の丸くなって隙間が開いた部分に塗りこんでいきます。四隅への塗りこみ完了したら、次のゆっくりを詰め、同様 の作業を繰り返します。 木枠の口までゆっくりが詰まったら、押し蓋を木枠へはめ、上から重しをしましょう。 半日ほどたったら、木枠をつかみ、押し蓋に指を当て、軽く押し出すようにゆっくりと上へ持ち上げましょう。これで、 押しゆっくりは完成です。あとは、一気にかぶりついたり、角から徐々に削るように食べたり、切ってお茶請けなどにしま しょう。 ちなみに、ゆっくりの顔を側面部分に向けてから押し固めると、四角く積み重なったゆっくりの助けを求める滑稽な表情 や、齧ったときなどの声がより鮮明に聞こえるので一度お試しあれ。 3分ゆっくりクッキング・糸冬 書いた人:名も無き作者 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4424.html
※色々注意 蒼い水の星、地球。 そこに一つの飛来物があった。 勿論地球には常に星屑が吸い寄せられて、落ちてきている。 だが違う。それは星屑でも、ましてや隕石でも人工衛星でもなかった。 それは、宇宙船だ。 草木も眠る丑三つ時、とある山奥にそれは落下していった。 幸運にもそこの周囲には人家は無い。 よって衝突の爆音が騒ぎになるようなことも無かった。 クレーターの中、その中央にいまだそれの姿がある。 何たる強度か。相当の速度で地面に衝突したというのに、それには傷一つ見られない。 人類の常識では測れない未知の物質、または科学。 突然、それに動きが見られた。 涙滴型の宇宙船から伸び始めたのは、アンテナともとれる細い茎状の何か。 にょきにょきと天を目指し、そして不意に止まる。 刹那、光を放つ。 細いレーザーを幾重にも束ねたようなそれは、まるで光のカーテンだ。 それはぐるぐると、まるでレーダーのように回転し始める。 宇宙船の周囲、そこに生える木々を捉え、飲み込み、通過していく。 この光はどうやら無害のようだ。その証拠に、この光に晒された木々は何の変化もしていない。 ゆっくり、ゆっくりと回っていく光のカーテン。 そしてそれは一つの動く者を飲み込み、そして消えていった。 トラン○フォーマー ゆっくりうぉーず 今日も今日とて良い天気。 俺は日の光に誘われるようにして、散歩に出た。 特に目的は無い。ただなんとなくそこらじゅうをぶらぶらするだけだ。 そうしたらなんかいきなりゆっくりの集団に出くわした。 なんか懐かしい。最近はこうやっていきなりゆっくりと遭遇する事なんて無かったからなぁ。 まぁそんなことなどどうでも良い。どうせだから虐待でもしてやろうかと考え・・・・・・? なんだこいつらは。 なんとなく様子が変だ。まずゆっくりの集団と言ったが、正確にはゆっくりれいむの集団だ。 どいつもこいつもれいむばかり。大きさもほぼ同じ。 どうやら家族というわけではなさそうだが。 そして何より、一匹のれいむに対して複数のれいむが擦り寄っている。 一匹のれいむに夢中で、他のれいむ達は押し合いへし合いを繰り返す。 まるでバーゲンのときのおばさん達のような感じだ。 「れっれいむ!!れいむはれいむとゆっくりしようね!!」 「なにいってるの!!れいむはれいむとゆっくりするんだよ!!れいむはあっちいってね!!」 「れっれっれいむ!!れいむは・・・れいむは・・・んほおおおおお!!!」 「おさないでね!!れいむがれいむとすーりすりできないよ!!!」 「やだああああ!!!れいむがれいむとすりすりするのおおおお!!れいむはあっちいってねええええ!!!」 『・・・・・・・・・・・・』 なんだかすごく紛らわしい。 やれれいむがどうとか、れいむがこうとか・・・れいむしか言ってないじゃないかコイツら。 ちなみにれいむ達の意中のれいむはむっつりとした顔で押し黙っている。 見ていても面白いのだが、どうせだからちょっかいを掛けてみよう。 そう思いついた俺は、れいむ達に近寄っていく。 接近した俺に気付くれいむ達。 「ゆゆ!!にんげんさんだ!!」 「ゆっくりしていってね!!!おにいさんはゆっくりできるひと?」 「ゆわあああああああにんげんだああああああ!!ゆっぐりでぎないいいいいい!!!!」 「ゆ!!にんげんだね!!かわいいれいむにあまあまもってきてね!!」 「ちょっとおにいさんはひっこんでてね!!いまれいむたちはれいむのことでおはなしがあるんだよ!!」 「んっんほおおおおー!!れいむー!!んほおおおおおー!!」 それぞれの反応を返すれいむ達。 ゲスかったりそうで無かったりと様々な反応だが、それはまぁいい。 さて、件のれいむの反応は如何か。 『・・・・・・ぬ!?君は一体何者だね!?』 喋った。 いや喋るなら別に普通の事なのだが、なんか違う。 まず声がおかしい。れいむ種のあのなんともイラつくような声ではない。 もっと男らしく、それでいてセクシーな・・・・・・なんとも形容しがたい良い声だ。 「え、あ、あれ?なにこの声?れいむじゃない・・・・・・?誰・・・?」 思わずうろたえる俺。 もしかしてコイツはガ板ゆっくりと言う奴であろうか。 まさかの事態に動揺を隠せない。 『む、君は言語が通じるのか。良かった、今このまわりにいる生物はなんとも意思疎通がし辛くて・・・・・・』 つらつらと喋っていく謎のれいむ。 一言喋るたびにその口からは魅惑のヴォイスが流れ、俺を虜にしていく。 見れば周囲のれいむ達もその声に夢中なのか、全員がうっとりした顔つきで謎れいむを見つめていた。 『・・・・・・すまないが、私の話を聞いているかね?』 「へっ、はい!?聞いてます!!聞いてますとも!!」 反射的に声を上げる俺。 まずい。全然話聞いていなかった。 一体このれいむ、何者なんだ。 『申し遅れたが自己紹介をしよう。私は―――――』 瞬間、謎れいむの顔(というか身体全体)に黒い線が走った。 いや、これは亀裂だ。謎れいむの身体が開いていく。 中身は・・・・・・機械!?餡子ではない。 ガシャガシャという機械音と共に、謎れいむは変形を繰り返していく。 この姿・・・・・・。饅頭から人型への変形・・・・・・。そして機械の身体・・・・・・。 もしや。 『私の名は、コン○イ。レイムコ○ボイだ、よろしく』 知っている。 俺はこの姿、この者のことを知っている。 昔テレビで見た勇姿。まさか本当にいただなんて。 そう、俺の目の前には、鋼の巨人がその姿を現して――― 「って小せええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」 思わず絶叫する俺。 今目の前に立つ○ンボイは、せいぜい40センチほどの身長しかなかった。 それも当然だろう。れいむの身体は30センチ。元が小さければそりゃ変形しても小さいまんまだわな。 「ゆわあ!れいむがなんかすごくへんになっちゃったよ!!」 「かかか、かっこいいいーーーーー!!!」 「ゆぅ・・・このすがたのれいむもせくしぃーだよぉ・・・・・・」 「んんんん、んほおおおおおおおお!!!」 「とってもゆっくりしたかっこうだね、れいむ!!」 周囲のれいむどもも大騒ぎ。 つーか紛らわしい。お前らが言ってるのはれいむじゃなくてコンボ○だろ。 『小さい・・・?元々私のサイズはこれくらいだが・・・?』 「あ、なんでもない。こっちの話です」 とりあえずコ○ボイの疑問をスルーさせる。 一体何がどうなってるのか、聞いてみなくてはならない。 「あの、なんでそんなけったいな格好をしてるんですか・・・・・・?」 『ああ、この姿は・・・・・・まず、私達がこの星にやってきたところから話さねばなるまい』 そうして、レイムコン○イは話し始めた。 要約すると彼らはデスト○ンの宇宙船を追うも交戦状態になり、未知の惑星、即ち地球に墜落してきたとの事だ。 地球にはなんかすごいエネルギーが働いてて、そのままの姿では活動に適さなかったらしい。 そこで彼らは周囲をスキャン、惑星の環境に合わせた変身体(ゆっくりモード)を手に入れたのだ。 『ちなみに、エネル○ンの反応は君達が"ゆっくり"と呼ぶこの生物から出ている』 「マジで!?」 驚いた。 ゆっくりは不思議なナマモノだがまさかそんなエネルギーまで持っていたとは。 と言うかそんなものに擬態するなよお前、と突っ込みたくなる。 『我々の目的はただ一つ、この地球のどこかにいるデス○ロンの捕縛、回収だ』 「へぇー」 『良ければ、君達に力を貸してもらいたいのだが・・・・・・協力してもらえるだろうか?』 協力の申し込みをされる。 どうせ暇だし、手伝っても良いか。 「ああ、いいよ。俺でよければいくらでも協力させてもらう」 「れいむたちもきょうりょくするよ!!!」 「さっさとおしごとかたづけて、れいむたちとゆっくりしようね!!」 「んほほーーっ!!」 まわりのれいむ達も賛成の声を上げる。 ていうか五月蝿い。別にお前らなんか糞の役にも立たないだろうに。 『フッフッフ・・・・・・。そうはさせんぞ、サイバ○ロン!!』 「っ!?何だ、一体!?」 『その声は・・・・・・まさか!!』 背後を振り返る。 そこにはゆっくりまりさの集団がいた。一匹のまりさがずずいと前へ進み出ている。 まさか。 「ゆっへっへ。おまえら、まりささまたちのつよさにおどろくのぜ」 「そうなのぜ。にんげんはころされたくなかったらあまあまもってくるのぜ」 「さぁまりささま!いっちょそのかっこいいおすがたをみせてあげてくださいなのぜ!!」 『ふっふっふ・・・・・・。メガ○ロン、変~しっん!!』 「やっぱりーーー!?」 やはりまりさの顔が割れ、そこから機械の身体が覗いている。 ガシャンと言う機械音と共に、人型へと変身を遂げるそいつ。 ○ンボイの永遠のライバル、破壊大帝メ○トロンだ。 『貴様とはつくづく縁があるらしいなコン○イ!!まさかここまで早く逢えるとはなぁ!!』 『メガトロ○、貴様・・・・・・!!』 『おっと、今は貴様と戦うつもりは無い。俺様の目的は・・・・・・』 なんか問答を始めた二人。いや二体? とりあえず邪魔をするのも悪いので突っ立って傍観する。 『・・・・・・貴様の協力をしようという、そこにいる地球人の抹殺よ!!』 「え、俺!?」 いきなり話を振られて驚いた。 というか俺が標的だと!? ヤバイ。 『こいつらに協力されては少々厄介なのでなぁ~。早々に始末させてもらうわ!!』 『危ない!!伏せろ!!』 ○ガトロンが俺に向かって右手の山高帽子、そこから覗くレーザーライフルを俺に向ける。 しまった。いまからでは回避が間に合わない。 このままでは、撃たれる。 『死ねぇ!!』 メガ○ロンからレーザーが発射された。 くそ、いきなりこんな所で俺の人生終了か。急すぎる。 目を瞑り、腕を前に組み襲い来る攻撃に備えて・・・・・・。 ぴっ。 じゅっ。 「熱っぢ!!!」 熱っちぃ。 腕がちょっと焦げた。思わず涙目になる。 ってあれ?もしかして、今のレーザーってこんなもん・・・・・・? 『な、なにぃ!?バカなどういうことだ!!』 『良かった、無事だったか!!』 「ゆえっ!?どういうことなのぜ!!」 「おにいさんだいじょうぶーー!!?れいむがぺーろぺーろしてあげるね!!」 俺の無事を知ってどよめく外野。 あれ、もしかしてこれは・・・・・・。 こいつらゆっくりに擬態しちゃったから能力もゆっくりナイズドされてる? そうとわかれば最早怖くない。 つかつかとマリサデス○ロンに歩み寄り、足を上げる。 『むっ、何者だ貴様!!何故俺様のレーザーを喰らって生きて・・・ぐあっ!!!』 蹴る。それだけで全長40センチのメガトロ○はすっ飛び、木に叩きつけられた。 すげぇ弱い。なんか抱いていた幻想を壊されてすごい悲しくなってきた。 『今だ!!サイバト○ン全軍、突撃ーっ!!』 「「「「ゆっゆおー!!!」」」」 すかさずコ○ボイの激に応え、れいむ達は突進していく。 いつの間にれいむ達はサ○バトロン軍に入っていたんだ。 『く、くそっ!!デ○トロン全軍攻撃ーッ!!』 「「「「ゆっくりしねぇぇぇぇ!!!」」」」 負けじとデス○ロンも突撃する。 途端に泥沼の混戦模様となった。 『カーッ、ペッ!』 『私が、主役だああああァァァァッ!!』 「のろまなれいむはゆっくりしねぇっ!!」 「いばってるまりさはゆっくりできなくするよぉっ!!」 「ゆぎゃあ!ばりざ、ごべんなざいいいいいいぃぃぃ!!」 「あやまっても!ゆっ!おそいんだぜ!ゆっ!このまま!ゆっ!じねっ!ゆっ!」 「ばりざよりあっぢのばりざをごろじでねえええぇぇぇえ!!?」 「だめだよ!!ゆっくりできないまりさはゆっくりしね!!」 「んほおおおおおおおおおお!!!!」 「どぼじででいぶに礼ぱーがいるのおおおおお!!!?」 「ゆっくりしようね!」 「いっしょにゆっくりしようね!!」 果て無くうぜぇ。 しかし暫くすると均衡は崩された。 やはり司令官がダメージを追っていた分、サイバ○ロンが優位になってきたのだ。 『○ストロン軍、撤退、てったーい!!』 「「ゆっくりにげるよ!!!」」 「にげおくれたまりさはそこでしんでね!!」 「「「どぼじでぞんなごというのおおおお!!!?」」」 あっという間に草むらの影に消えていくデスト○ンとまりさ達。 残ったのは見捨てられたまりさ達の死骸と、大半が傷ついて動けなくなったれいむ達だった。 『むぅ・・・・・・勝ったはいいものの、こちらにも多くの犠牲が出てしまった』 「いだいよおおぉぉぉぉ・・・・・・」 「じぬ・・・・・・じんじゃう・・・・・・」 「むじろ・・・・・・ころじで・・・・・・」 ゆっくりモードに戻りながら眉をひそめるレイムコン○イ。 軽傷のものは痣ができる程度、重症はそれこそ身体の半分を失うといった状態など様々だ。 とりあえず見ているだけなのもアレなので、口を挟むことにしよう。 「大丈夫だと思うよ。こいつら数だけはいるから補充はすぐに利くって」 『いや、そういうことではなく・・・・・・』 「ほら、そうこうしている間に新しいれいむがやって来た」 「ゆゆっ!?ゆっくりしていってね!!!」 がさりと草むらをかき分け、新顔のれいむがやって来た。 そしてレイム○ンボイを一目見て、惚れる。 コ○ボイの注意が逸れている間に怪我したれいむ達を踏み潰しておいた。 「ゆゆっ!!とってもゆっくりしたれいむだね!!なにかれいむにてつだえることはない!?」 『それならば、サ○バトロン軍に入隊してもらえば嬉しいのだが・・・・・・』 「ゆっくりりかいしたよ!!れいむそのなんとかっていうところでがんばるね!!!」 勧誘成功。 こんな調子で集まったれいむ達を口説き、あっという間にサイバト○ン軍は人員の補充を完了した。 忙しいコ○ボイは既につぶれた饅頭のことなど覚えていないようだ。哀れである。 『我々は絶対にデス○ロンに負けてはならない!!それがこの星を守るためにも重要なことなのだ!!』 「「「「ゆっゆおーーーー!!!!」」」」 「おー・・・・・・」 こんな調子でレイムコン○イとれいむ達と俺の奇妙な戦いの日々が始まった。 果たしてコ○ボイはデス○ロンを捕まえることが出来るのか!? この地球は一体どうなってしまうのか(彼らごときにどうにかなるとは思えないが)!? それはこれからわかる。まだまだ戦いの日々は戦ったばかりである!! 戦え!超ゆっくり生命体トラ○スフォーマー! 以下に、戦闘の様子を(あまりにも低レベルな争いなので)台詞だけ抜粋する。 『私にいい考えがある』 「ゆゆ!?みんなー!れいむがゆっくりしたさくせんをかんがえたってー!」 「いかんその台詞はフラグだ」 『なんだとデスト○ン』 『こいつらはただの饅頭だと言ったのだこの愚か者め!』 「「「「「どぼじでぞんなごどいうのおおおおおぉぉぉ!!!?」」」」」 『よーし皆、目を瞑れ。 饅頭を食べた人は正直に手を上げなさい。正直に言えば私は怒らない』 「「「「「・・・・・・・・・」」」」」 『誰もいない!先生怒るぞ! 本気と書いてマジで怒るぞ!!いいのか!!!』 「「「「「・・・・・・・・・・・」」」」」 余談だが、後に俺達はドスまりさサイズのユニ○ロンと戦ったりした。 (主に俺が)ユニク○ンをフルボッコにするのだが、それはまた別のお話。 おわれ ――――― 書き溜めです。 もうすぐ映画公開だしムラムラして書いた。反省している。 レイムコ○ボイ(CV:子安○人)、マリサ○ガトロン(CV:千○繁)でお送りしました。 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2069.html
ゆっくり剥製 ※虐待成分は殆ど無しです。 男は幻想郷では珍しい剥製製作の技術を持っており、それで生計を立てていた。 男の仕事はまず材料であるゆっくりを見つける事から始まる。 ゆっくり達が起き出す頃合を見計らって森に分け入り、出会ったゆっくりをためつすがめつし、自分の作品に相応しいゆっくりであるか検分するのだ。 まずは輪郭。ゆっくりの特徴である下膨れの顔。その曲線のラインを見定め、時に曲線をなぞって感覚で確かめる。 基本的に体の無い生首饅頭であるゆっくりにとって下膨れの曲線の美しさこそがゆっくりの美醜を決める要因の一つになる。当然でっぷりと見苦しく太ったゆっくりなどもっての外である。 大抵のゆっくりは嫌がるが、「可愛い」とおだててやり、心ばかりの野菜くずを渡すと掌を返したように協力してくれる。つくづく単純なものだと男は時々思う。 次に髪。これは人間と同じで、傷んでなく、サラサラで色素の濃いものがいい。当然、クセっ毛はアウトだ。 最後に髪飾り。男にとってはゆっくりの髪飾りなどはどうでもいい物なのだが、依頼してくる客の殆どはゆっくりがもともと身に着けていたものでないと困る、と言う。 何がどう違うのか男にはサッパリだが、とにかくキズや汚れが少ないものを身に着けているゆっくりを選ぶ。 幸い、とある群れでメガネに叶った一匹のれいむ種を見つける事ができた。 ゆっくり達に話を聞いてみると、そのれいむは群れで1,2を争うほどの器量良しなのだとか。 ゆっくり達からも太鼓判を押されたため、男はそのれいむを「作品」にすることに決めた。 群れから連れ出す事をゆっくり達に説明すると、群れからもれいむ本人からも嫌がられた。 男にとってはそういう対応をされるのは想定内のことなので、適当に言いくるめておく。 「私もこのれいむの美しさの虜になってしまってね・・・。私の家でもっときれいにしてから必ず返すからそれまで待っていてくれないか?」 勿論賄賂代わりの野菜くずも忘れない。れいむにも特別に餡子(以前の作品を作った時に出た物)を食べさせ、納得させる。 そうして群れから材料であるれいむを連れ出し、家へと連れ帰る。 材料を確保した事でようやく本格的に男の仕事が始まる。 まずは、れいむに何でもいいから食べさせる。大抵の場合は以前の作品を作る時に出た餡子だ。 直接食べさせようものなら間違いなく汚く食い散らかし、口の周りに餡子がついて製作の際に要らない手間がかかってしまう。 その為、匙で餡子を掬ってれいむに食べさせてやる。 肝心のれいむはというと男が自分の美しさの虜になっていると完全に信じ込んでいるため、匙で食事を与えられる事が当然と思っている。つくづく調子のいい生き物だ。 食べ始めの頃は「うっめ!これめっちゃうっめ!!」だの「まじはんぱねぇ」だのテンプレ通りのセリフをほざきながら食べているが、次第に声に力が無くなり、眠るように意識を失う。 当然である。餡子の中には睡眠薬が混ぜてある。量にして人間でも軽く1日は眠り続ける程度。ゆっくりが飲もうものなら良くて仮死状態、悪くて永遠に眠る事になるだろう。 れいむが動かなくなった事を確認すると、男は別室の作業場へと移動する。 まず、ホルマリンに漬け込み、防腐処理を行う。他の動物や魚とは違い、ゆっくりは饅頭である。その皮は水分に弱く、長時間漬け込んでいると皮が崩れて台無しになってしまう。 逆に言えばホルマリンが皮に染み込むまでそれほどの時間がかからないということでもある。 閉じていたれいむの目を開き、だらしなく開いていた口をいつものふてぶてしい笑顔の形にしてホルマリンに漬け込む。 ボーダーラインは5分である。十分に成熟したゆっくりなら皮全体にホルマリンが染み込むまでにそれほどの時間で済む。 ホルマリンから引き揚げ、れいむの体が固まっている事を確認する。 そして、メスで底部に切れ込みを入れ、そこから体内の餡子を掻き出す。 仮死状態でも血肉とも取れる餡子が減っているのがわかるのか、時々「ゆ゛っ、ゆ゛っ」と小刻みに震える。 そして、完全に餡子を掻き出すと、空っぽになった皮の中に石綿を詰めていく。ここで気を抜くと折角ホルマリンで硬直した皮の形が崩れてしまう。男の顔が険しくなり手つきも慎重になる。 れいむの中身が石綿に置き換わったら、目をくり抜き、ガラスで出来た義眼を埋め込めば完成である。 「いやぁ、あなたの作る剥製は見事だ!いまにも生きて跳びはねそうだ!」 依頼主は完成したれいむの剥製を見てご満悦のようだ。 ちなみに依頼主の殆どは所謂ゆっくり愛で派と呼ばれる人種である。 「かわいいゆっくりをいつまでも可愛いままで飾っておきたい」という歪んだ、しかしある意味では共感できなくも無い理由である。 とにかく男はこれで生計を立てている。依頼主の事情には興味は無い。 ただ、自分の技術を用いて最高の作品を作る。ただそれだけである。 あとがき 多くの虐待SSに触発され、自分もそれっぽいものを書いてみました。 他の先達の皆様の様に直接的な虐待描写が浮かばないため、こんな形で間接的に虐待してみました。 ちなみに剥製製作については専門的な知識を持っていないため、多少無理があるところが多いと思います。 下手にツッコまずに、スルーしていただけたら幸いです。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/751.html
幻想郷も夏となれば暑い。 そして、私の家は涼を得るための道具が風鈴しかない。 だから、私はその日、家の窓を全て全開にしておいた。 少々の虫は寄るだろうが、別に気にする事もない。 どうせ家は古ぼけているし、この辺りには妖怪も猛獣もいないのだ。多少虫に刺された程度ならば何でもない。 全ての窓を開け放った後、一番涼しくなる場所まで移動して、そのまま寝転がった。 こういう時の畳の心地良さは、言葉にできないものがある。 少しだけ休もう。そう考えつつ、そのままうとうととしてしまった。 『ゆっくりしないでね!』 どうやら完全に寝入っていたらしい。 日はかなり傾いており、何やら物寂しい気分にさせる光景が広がっていた。 何となくため息を一つついてから、食事でも摂ろうと台所に向かっている最中、ガシャンガシャンとやかましい音が聞こえてきた。 泥棒でも入り込んだかと寝ぼけ頭で考えつつ台所に入った私は、それを見て呆然と立ち尽くした。 放射状に割れている陶製食器、食い荒らされた食料、土まみれの床板。 「ゆっくりしていってね!」 そして、その真ん中で異様に得意げにしている饅頭。 幻想郷最弱にして一部の人からはウザいと言われて死ぬまでいたぶられ、一部の人は保護し尊重しているという良く分からない生物、ゆっくりだ。 「ゆっくりしてね! おにいさんはゆっぐ!?」 何か言っているのを無視して、捕まえたゆっくりをガラス製の水槽に放り込み、そのままフタを閉める。 その後、何やら騒がしいゆっくりを尻目に、そのまま部屋を片付けた。 片付けが一通り終了した。 陶製の食器は思ったよりも割れておらず、食料も見た目より減ってはいない。というより、食べた量より食べかすの方が多い。 やけに少ない被害に首を傾げるが、考えてみれば幻想郷最弱のゆっくりなのだ。重いものやすぐに食べられないものは狙わなかったのだろう。 子供のいたずら……にしては性質が悪いが、この程度ならば軽くお仕置きをしてから開放してやっても良いかな。 そんな事を考えつつ水槽に近づいてみると、ゆっくりはボロボロと涙をこぼしていた。 何度も出ようと試みたのだろう、顔の至る所が食紅でも使ったかの様に赤くなっている。 これなら飛び出す心配もないだろうと思い、水槽のフタを開けてみた。 「っぐ……いだいよ、いだいよ……ゆっ! おにいさんここからだして! おうちかえる!」 フタを開けた瞬間、ゆっくりは水槽をごとごとと揺らして泣き叫び出した。 家を荒らされた私の方が悪者の様で若干不愉快だが、そこはぐっと堪える。 危険な生物が近くにいないという事で、警戒心がなくなっていたのは私の方なのだ。 むしろこの程度の被害で済んだ私は、運が良いのだろう……と、考えていてゆっくりの事を忘れていた。 うっかりしていたと思いながら見てみると、当のゆっくりは白目をむいてがたがたと震えていた。 「おねがい! あやまるからおうちかえして! へんなことしないでゆっくりさせてよ!」 そのまま、何度もへこへこと奇妙な屈伸運動をしつつ、ごめんなさいごめんなさいと繰り返す。 どうやら、謝っているつもりなのだろうが、何故ここまで怯えているのだろうか。 不思議に思いつつ水槽を覗き込むと、ゆっくりはカッと目を見開いて、凄まじい悲鳴を上げた。 「ゆあああああぁぁぁ! ぞんなにはやぐうごがないでぇぇぇ! ゆっぐりでぎないよぉぉぉ!!!」 早く動かないで? ゆっくりできない? 意味の分からない事を言うゆっくりを落ち着かせるためにも、話しかけてみる。 「何を言っているんだ? ゆっくりも何も、私は動いていないが」 「おててがぁぁぁ!!! ひらひらひらひらおててがゆっぐりじでないよぉぉぉぉぉ!!!」 泣き叫ぶゆっくりだが、その内容はいまいち良く分からない。 『おてて』と呼ぶ物は恐らく手の事だろうが、手がどうしたと言うんだ? 不思議に思いつつも何気なく左手を見ると、そこそこの速度で左右に揺れている。 「はやぐ! はやぐどめでぇぇぇ!!! なんでもずるがらゆるじでぇぇぇぇぇ!!!」 口の端から黒い泡を吹き出して絶叫するゆっくり。 その様子を見て、ようやくこの手の動き(考え事をする時のクセである)が恐怖の対象なのだと分かった私は、すっと動きを止めて後ろ手を組んだ。 「ほら、もうゆっくり出来るだろう?」 「あ……ありがどおおおおぉぉぉ」 心底安堵した声を上げるゆっくりを眺めていると、イタズラ心が湧いてきた。 「ゆっくり出来たんだから、ここから出す必要はないな。じゃあ、しばらくそこでゆっくりしていてね」 「ゆぎゅ!? まっで! おうぢがえりだいよぉぉぉ!!!」 安堵の顔から一転して、また白目をむいて泣き叫ぶゆっくり。正直面白い。 その情けない有様を眺めていると、一つの『お仕置き』を思いついた。 私は、出来るだけ優しそうに見える笑顔を浮かべて、ゆっくりに話しかけた。 「よし、それならおうちに帰してあげよう」 「ゆっ、ほんとう!? おうちかえしてくれるの!?」 泣き顔からまた一転して笑顔へと変わるゆっくり。 「ゆっくりかえれるよ!」「おうちでゆっくりするね!」などと、もう帰った後の事を考えて嬉しそうに飛び跳ねだした。 だが、そう簡単には帰してはやらないぞ。 「まてまて、帰す前にする事があるだろう」 「することってなに? まりさはすごくゆっくりしてるよ!」 不満そうに口を尖らせるゆっくり。こいつはどうやら、まりさと言うらしいな。 ゆっくりのまりさだから、ゆっくりまりさか。今後はゆっくりまりさとでも呼ぼうかな。 「ゆあああぁぁぁ! おででがゆっぐりじでないよぉぉぉ!!!」 おっと、クセが出てしまった様だ。 慌てて後ろ手を組むと、ゆっくりまりさはぷくっと膨らんで「ぷんぷん!」などと言い出した。どうやら怒っているらしい。 「ゆっ! おにいさんはゆっくりできないひとだね! はやくまりさをおうちにかえしてよ!」 いや、だからその前にする事があるんだって。 何秒か前に言われた事すら覚えていない頭の悪さに内心苦笑しながらも、笑顔を崩さずに語りかける。 「ダメだよ、ゆっくりまりさは悪い事をしたんだから、お仕置きをしなきゃいけない」 「ゆぎゅ!? まりさなんにもわるいことしてないよ! おしおきはなしにして、おうちかえして!」 「ダメだ、私の家をメチャクチャにしたじゃないか。それは悪い事だろう?」 「なんでぇぇぇ!? まりざおにいざんのおうぢめぢゃぐぢゃになんがじでないよぉぉぉ!? おじおぎなんでざれだらゆっぐりでぎないぃぃぃ!!!」 甲高い声で泣き叫ぶゆっくりまりさ。 自分が何をやったのかを理解していないのか、本気で悪い事は何もしていないと思っているのか……恐らく後者だろう。 ※ 一から理解させてやらなければならないのだろうか……ため息をついて、やや怖い顔を作る。 「じゃあ、私がお前のおうちにある食べ物を食べたり、おもちゃを壊しちゃっても良いんだな?」 「だめだよ! そんなことされたらゆっくりできな……」 中途半端な所で言葉を止めたゆっくりまりさは、ハッと驚く様な顔になって、そのままぶるぶると震え始めた。 勝手に家の食べ物を食べられ、おもちゃを壊される……それは、先ほど自分がやった事だとようやく気付いたらしい。 そのまま考え込む様に目を閉じて「ゆぅ~」とうなり声を上げた。覚悟を決めているらしい。 少し経って目を開いたゆっくりまりさは、饅頭だと言うのにやけに凛々しい表情を浮かべていた。 「……わかったよ、まりさがわるいことしたからおしおきされる! でもあんまりいたくしないでね! いたくしたらゆっくりできないよ!」 ゆっくりおねがいね! などと飛び跳ねるゆっくりまりさ。 勝手な事を言っているのにどこか憎めない態度に、思わず苦笑いが浮かんでしまう。 子供がわがままを言っている様に感じてしまうからだろう。 「よし、覚悟が出来ているならお仕置きをするぞ」 「ゆっ! おねがいします!」 屈伸運動をするゆっくりまりさ。お辞儀のつもりだろう。 お仕置きをするだけなのに、稽古中の師匠と弟子の様で面白いが、ゆっくりまりさは真剣な眼差しでこちらを見つめている。 「じゃあ、始めるぞ」 「ゆっくりいつでもどうぞ!」 よほど怖いのだろう、良く見るとふるふると震えている。 すぐに終らせてやるからな。心の中でそう誓いつつ、ゆっくりまりさの目の前に手を持って行く。 「しばらくこの手を見ている事がお仕置きだ、分かったか?」 「……ゆ? ゆっくりおててみているよ!」 不思議そうな顔をした後で、嬉しそうに飛び跳ねるゆっくりまりさ。 お仕置きと言われて緊張していたら、手を見るだけなどという半ば遊んでいる様な程度で済んだのだ。その気持ちも分からなくはない。 だが、そこまで甘くはないぞ。 「これはお仕置きなんだからゆっくりされては困るな。これからが本番だ」 にこにこと笑うゆっくりまりさの目の前で、手をゆらゆらと動かし始める。 ゆっくりまりさは「ゆっ!?」などと驚いた声をあげつつ、先ほどよりずっと遅い速度で揺れ続けるそれを目で追いかけた。 「ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ……」 珍妙な掛け声で噴出しそうになるのを堪えつつ、ゆっくりと手を動かし続ける。 右、左、右、左……ゆらゆらと動く手を追いかけ続けるゆっくりまりさは、べちゃんと転んでしまった。 「ゆぎゅっ……ゆっくりできないよ!」 そのままぷくっと膨らもうとするが、起き上がった時点でまたゆらゆらと動く手を見て、すぐに目で追いかける。 「ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ……」 珍妙な声を上げつつ、ゆっくりと動く手を眺め続けるゆっくりまりさ。 その極めて難しい事に挑む挑戦者の様な表情を眺めつつ、私はゆらゆらと手を動かし続けた。 「はい、お疲れさん」 「やっどゆっぐりでぎるよー!!!」 私の声を聞いた瞬間、疲れ果てたとばかりにぷにょんと平べったくなるゆっくりまりさ。 「ゆぅぅぅ……おめめがいたいよ!」 数分間ふらふらと手を追っていたのがよほど堪えたのだろう。 ゆっくりはぱちぱちとまばたきを繰り返している。 「ゆっ……おめめがゆっくりできたよ!」 しばらくそうしてから、ゆっくりまりさは嬉しそうに叫んだ。良く見ると、目がつやつやと輝いている。 ゆっくりもドライアイになるんだな……おっと、考えていたらまた手が動いてしまうから考えない様にしなきゃな。 それに、お仕置きは終ったのだから、家に戻してやらなければならない。少し残念に思いながら、水槽から出してやった。 「おにいさんありがとう! それとごめんなさい! おうちでゆっくりはんせいするね!」 水槽の外に出た途端、嬉しそうにぴょんぴょんと飛び跳ねていくゆっくりまりさに声をかけた。 「ああ、もう家を荒らすんじゃないぞ」 「ゆっくりわかったよ! ばいばいおにいさん、ゆっくりしていってね!」 その場で飛び跳ねてから、かなりのスローペースでどこかへと去っていくゆっくりまりさを、微笑ましく眺める。 あのゆっくりまりさは、二度と同じ事を繰り返しはしないだろう。 そう考えると、心を鬼にしてやった甲斐があったというものだ。 穏やかな気分になりながらも、足りなくなった食器や食材を買いに行く事にした。無論、戸締りはしっかりとしてからだ。 お仕置きしている最中に降り出した雨の中、急ぎ足で買い物へと出かけた。 近頃流行りのぬるいぢめと32スレ 811の言った○○すれば~~してやる系統の話でふと思い立ったものを一つ即興で上げようとしたけど長くなりました。 ちょっとぬるすぎると思った方のために、先に思いついたドギツイ虐待も置いておきます。 ※から下がそれなので、良かったら見て下さい。 by319 ※ それにしても、うるさい事この上ないな。ゆっくりがウザいと言う人の事が少し理解できた気がする。 「分かった、まりさは悪い事はしていないと言うんだな。なら、家には帰せない。そこでしばらく反省しなさい」 「わるいごどじでないのにぃぃぃ! おうぢがえじでよぉぉぉ!!!」 いかにも自分は被害者だという叫びを上げるゆっくりを無視して、フタを閉める。 水槽を覗き込むと、ゆっくりの方も気付いたのか、激しく跳ね回りながら泣き出した。 音が聞こえないために何を言っているかは分からないが、何と言いたいかは分かる。 家に帰りたい、助けて、ごめんなさい。まりさは何もしてないよ、許して。 最初は、子供のいたずらに近いものがあるし入ったのがゆっくり程度で良かったと思っていた。 だからこそ、先ほど考えていたお仕置きも簡単なもので済ますつもりだった。 だが、こいつは全く反省していないどころか、自分は被害者で、冤罪だとほざいている。 これまで優しく接していた自分が愚か者だと突きつけられた様な錯覚に陥る。 苛立ちをそのまま饅頭に叩きつけたくなるが、そんな事をしたら今度こそ自身の間違いを肯定する様なものだ。それは気に入らない。 では、どうするか……決めた。 さっき思いついた『お仕置き』を少々キツめにやってやろう。 これなら暴力は振るわないで心の底からの反省を促す事が出来る。 「おうぢがえじでぇぇぇ……ゆっ? おにいざん、なにじでるの!?」 まず、ゆっくりの目の前に手を持ってくる。 「おはなじぎいでよ! ゆっぐりでぎないよ!」 そのまま、ひらひらと左右に手を振る。 「ゆっ!? ゆ、ゆ、ゆ……」 何かと思って追いかけるゆっくりの前で、どんどん手を早く振っていく。 「ゆっ、ゆっ……ゆゆゆ、ゆっぐりでぎないよ! もっどゆっぐりじでよ!」 だが断る。更に手を早く振り、ゆっくりできなくしてやる。 「ゆぎゅあぁぁぁぁあぁあぁぁぁあ!!! ゆっぐりじでよ! ゆっぐりじでよ!」 泣きじゃくるゆっくり。 この期に及んでまだ被害者ぶるその態度が勘に触った私は、風を切る音が聞こえるほどに素早く手を振り続けた。 「やべでぇぇぇぇぇゆっぐりざぜでぇぇぇぇぇ!!!」 皮がふやけるほどの勢いで涙を流すゆっくり。 小賢しい。腹の底から怒りが沸き上がってくる。 泣きじゃくるゆっくりの前で、私は手を小刻みに振り続けた。 「ゆるじでぐだざいぃぃぃぃ;あkhy:@ばdgは:!!!」 ゆっくりは、あまりにゆっくりできない現状に絶望したのか、意味不明な叫びと共に黒い何かを吐き出し始めた。 だが、私は怒りのために疲れは全く感じない。 こうなれば、持久戦だ。 私が疲れて手を振る事をやめるか、ゆっくりが被害者ぶるのをやめて、自分が悪かったと反省するか。 そんな事を考えながら延々と手を振ってゆっくりさせない事に専念していたせいで、ゆっくりが段々と目の輝きを失っていった事には気が付けなかった。 どれだけの時間手を振り続けていただろうか。 流石に疲れた私は、手を振る事をやめた。 「……どうだ、これだけやったら反省しただろう」 「………………」 ゆっくりは無言でうつむいている。 流石に反省したと思うのだが、こちらの被害も甚大だ。手がぶるぶると震えている。 こんな事で腱鞘炎にでもなったらバカらしいが、それもこれも、ゆっくりに反省してもらうためにやった事だ。 「分かったか? 自分がやった事を棚に上げて、被害者ぶるなんて許されない事なんだぞ」 「………………」 うつむいたまま動かないゆっくり。 ひょっとしたら、叫び疲れて寝ているのかもしれない。 だとしたら、途中からは何のためにやっていたのか分からないが……若干の冷や汗を背中に流しつつ、ゆっくりが寝ていないかどうか確認してみる事にした。 「おい、聞いているのか? お前は……」 ぱさりと帽子が落ちたその中の饅頭を見て、私は絶句した。 私の家は、勝手に誰かが入り込んでくる様な立派な家でもないし、妖怪もこの辺りにはいない。 だから、私が油断していたと言わざるを得ない。 理性では分かっている。だが、感情では分からない。 だから、私はこんな事をしたのだろう。 「ゆ……ゆ……ゆ……」 目の前には、白目をむいて震えているゆっくりが一匹。 外傷はないが、精神に負った傷はもう二度と治る事はないだろう。 哀れな饅頭の前で、詫びる様にゆっくりと手を振った。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/387.html
あるところに2匹のゆっくりゆゆこがいた。 「こぼねー」 「こぼねー!」 バスケットボールぐらいのゆゆこの声に、テニスボールぐらいの子ゆゆこが応える。 2匹は、群れへと帰る途中だった。 子ゆゆこは、ゆゆこの子供ではない。偶然見つけた子ゆゆこをゆゆこが保護して連れて行っている。その為、子ゆゆこはまるで群れのことを知らないでいた。 ここまで歩きながら群れの事を聞くたびに、子ゆゆこは目を輝かせている。 早く他のゆゆこ達に会ってみたい。今までにない新たな生活へと子ゆゆこは心をときめかせていた。 「ハフ、ハフ……ハフ?」 「こぼね?」 ゆゆこ達の足が止まる。 道沿いに進んだ先を見ると、黒い帽子がゆらゆらと並んで揺れているのが見えた。 ゆゆこはそれだけで、ゆっくりまりさの家族連れが歩いている事を悟った。 「こぼねーこぼねー」 「ハフッ!」 ゆゆこにエサがいると言われて、鼻息が荒くなる子ゆゆこ。 2匹はお互いに歩みを揃えて、黒い帽子へ向かっていった。 隣で遊んでいる子まりさばかり見ていた親まりさは、目の前に来るまでゆゆこの存在に気づけなかった。 「ゆ?」 「おかあさん、ちがう子達がきてるよ」 「ゆゅっ?」 子供に言われて振り返った時、ようやくゆゆこ達に気がつく。 「ああぁぁああぁぁぁあああああぁっ!?」 瞬間、思わず絶叫したまま固まっていた。 「お、おかあさん?」 「どうしたのおかあさん? あの子達といっしょにゆっくりしようよ?」 「ゆっくりしていってね!」 まだゆゆこの存在を知らない子供達は、親しげにゆゆこ達へ接しようとしている。 そこに気を取り直した親まりさが、間に入ろうと飛び出してきた。 「だめ! このゆっくりたちとはゆっくりできないよ! おかあさんの後ろにかくれてね!」 決死の表情でゆゆこたちを睨んでいる。 しかしまりさを今までエサとしか見たことのないゆゆこは、まるで意に介さなかった。 「あなたたちは早くいえにかえってね! ゆっくりしたらだめだよ!」 「ゆーっ!」 「なんでそんなこというの! いやだよ! もっとゆっくりしたいよ!」 親の言っていることが理解出来ない子供達は、まるで言うことを聞かない。 そんな親へ、子ゆゆこは張り付くように近づいていく。 「ゆっくりしたらだめぇええぇぇっ!! にげてぇぇぇえぇえぇっ!!」 親まりさの必死の叫びと、子ゆゆこがまりさに口をつけるのは同時だった。 「ゆぐっ!!」 「こぼねー!」 そのまま囓った皮を咀嚼する。 「おいちー!」 「お、おかあさん!」 「おかあさん、どうしたの? 大丈夫?」 急に顔を顰めた親まりさの様子に慌てるも、まだ状況を把握していない。 「い、いいから、早く逃げて……ゆっくりじな」 子ゆゆこは食べ終えた場所へまた口をつけ、今度は一気に吸い込み始めた。 「あぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃがぐぎゃがっ!!」 「ずずずずずずずず……」 子ゆゆこの口に餡子の甘さが広がっていく。 「お、おがあじゃん!」 「どうしたのおかあさん!」 「いやぁぁあぁっ!! おかあさんがちっちゃくなっていくよぉおっ!!」 みるみるうちに餡子を吸い取られ、細い皮だけの存在になっていく親まりさ。 「……み……ゆっく……にげ……」 最後の声は、子供達に届くことなく風と共に消え去り。 親まりさは皮だけとなって、風に飛ばされていった。 「げっぷ」 「いやぁああぁあぁあぁあぁっ!!」 「おかあさぁぁあぁああぁあぁんっ!!」 その場で泣き叫び始める子供達。動こうとする子まりさは1匹もいない。 最後の最後まで、親まりさの気持ちは子供達に伝わらなかった。 軽い食休みを挟んで、子ゆゆこは泣き崩れる子まりさ達へ近づいていく。 それを、後ろから迫ってきたゆゆこに突き飛ばされて邪魔された。 「ハフッ!?」 地面で体を擦られ、体中が砂埃で汚れてしまう。 突然の事に思わず起き上がってゆゆこを見ると。 冷たい目で、子ゆゆこを睨みつけていた。 「……こぼ」 これまで見たことの無かったゆゆこの様子に、思わず子ゆゆこはたじろいだ。 ゆゆこは、そのまま子まりさに迫っていく。 食物連鎖の上位であるゆゆこに蹂躙されていく子まりさ達。 その光景をまるで目に映さず、子ゆゆこは先ほどの冷たい目にずっと怯えていた。 途中で僥倖な食事もあり、ゆゆこ達は気分も高らかに群れへたどり着いた。 ゆゆこの冷たい目に怯えていた子ゆゆこも、食べた後はいつも通りのゆゆこだったことで、どうにか落ち着いていた。 群れにつくと、多くのゆゆこ達が子ゆゆこの事を歓迎してくれた。 巨大なゆゆこもいれば、同世代のゆゆこ達もいて、今まで同種を見たことのなかったゆゆこは、文字通り飛び跳ねて喜んでいた。 群れについた後、ゆゆこと子ゆゆこは一緒に暮らし始めた。 ゆゆこに子供はいないので2匹だけの生活だったが、外を出たらすぐに友達に会えるので寂しさなど微塵もない。餌もゆっくりゆゆこの群れがあるだけあって、辺りを歩けばゆっくりがすぐ見つかる環境。困ることはまるでない。 今まで1匹で過ごしていた子ゆゆこにとって、今まで感じたことのなに暖かさがそこにあった。 やがて、子ゆゆこがゆゆこと同じぐらいの大きさになった時、子ゆゆこは独り立ちをする。 群れのある場所の外側に見つけた洞穴に住み、1匹で生活し始めた。 「うー! うー!」 羽根を咥えられ、ゆっくりゃはじたばたと肉まんな体を動かして藻掻いている。 逆に子ゆゆこはご満悦な笑顔を浮かべて喜んでいた。 ゆっくりゃや、ゆふらんは、その羽根で飛べるためにゆゆこでも捕まえる事は難しい。今回はゆっくりゃがゆっくりを捕まえようと降りてきた所を逆に捕まえていた。 もちろん捕まりそうになっていたゆっくりの住処は覚えている。ゆっくりゃを食べた後で、また狩りに行こうと思っていた。 取りあえず咥えていた羽根を引き千切り、持ち運びしやすくすると、そのまま住処の洞穴へ歩いていく。 「ぎゃ、ぎゃおーっ! ぎゃおーっ! 食べちゃうぞーっ!!」 食べられるのは、もちろんゆっくりゃだった。 「うー! うー!」 「ハフ、ハフハフっ!」 「うぁあああああぁああぁああぁっ!!」 肉まんが瞬時に食べ尽くされる。生では食べられない筈のゆっくりゃの羽根も、子ゆゆこは歯ごたえがある程度にしか思っていない。 油の乗ったゆっくりゃに、ゆゆこは幸せそうに食後を堪能していた。 入り口に影が映る。 「こぼね?」 「こぼねー」 影の正体は、知り合いのゆゆこだった。 「こぼねー!」 「こーぼねー」 ここに来た時からほぼ同世代だった2匹は、出会ってすぐに仲良くなり、普段から頻繁に雑談する中になっていた。 友達と仲良く話ながら子ゆゆこは考えていた。 子ゆゆこは、以前から別のゆゆこと一緒に狩りへ行きたいと思っていた。1匹でやる狩りはどこかつまらなく、爽快感に欠けていたからだ。 「ハフ、ハフハフ」 「……」 目の前で熱心に喋っている友達へ、ゆゆこは思い切って切り出してみた。 「こぼねー」 場の空気が凍った。 「……こ、こぼね?」 「……」 訪ねても、友達から返事が来ない。 黙ったまま、立ち去ろうとする。 「ハフッ!?」 子ゆゆこは訳がわからないまま、友達に追いつき、必死に謝った。 途端、友達は元の様子に戻り、また雑談を始めていく。 笑いながら雑談を聞いていた子ゆゆこは、心の中で震えていた。 去り際に友達がみせた冷たい目線は、あの時のゆゆこの目そのものだった。 「こぼねー?」 いつものようにゆっくりを探しに来たこゆゆこが不思議そうに声を上げていた。 ここ最近、餌のゆっくりが少なくなってきたと子ゆゆこは感じていたのだが、今日は少ないを通り越してまるで見つからない。 この辺りのゆっくりが住み着きそうな場所のほとんどを、子ゆゆこはなんとなく覚えている。それが至る所を探したものの、どこにもゆっくりの姿はない。 ほぼ1日を掛けたにもかかわらずの成果なしに、子ゆゆこはがっかりしながら群れへ帰っていく。 群れには異変が起きていた。 「……ゆっ?」 住処に帰り、取りあえず子ゆゆこは友達へ会いに行ったが、そこには誰もいない。 それじゃとゆゆこに会いにいくが、そのゆゆこも姿が見えなかった。 「……こ、こぼね?」 今まで危機感を感じていなかった子ゆゆこも、ようやく事態の異常さに気づく。 そのままゆゆこは知り合いの家をほとんど回っていったが、他のゆゆこはどこにも見あたらなかった。 「こ、こぼねぇえぇっ!?」 半狂乱する子ゆゆこに、声をかけるものはどこにもいなかった。 そもそも、ゆっくりゆゆこは群れを成さない。多数で動くとしても家族としてぐらいだ。 なぜなら、ゆゆこが2匹いるだけで、食料が2分の1に減ってしまうからだ。 多くのゆっくりを食べないと満腹にならないゆゆこにとって、それは大きな理由になる。 なのでほとんどの場合、ゆゆこは単独で生活しているのだが、唯一例外があった。 ゆっくりが多く住んでいる土地を見つけると、自然とゆゆこは集まって住みついていく。一時的に群れをつくり、互いに競ってゆっくり達を食い潰していく。 そしてその土地にゆっくりの姿が見えなくなると、また単独に戻り、次の狩り場を探して旅立っていくのだ 今はもう、ゆゆこも友達も、他のゆゆこ達も既に旅立っていった後だった。 他のゆゆこ達は育てられる内に移動を繰り返すため、単独で行動することには旅自体に慣れている。 子ゆゆこにとっての不幸は、この狩り場があまりに上質だったため、移動せずに育ってしまったことだった。 「……」 呆然としたまま動けない子ゆゆこ。普通ならば餌を求めて旅立たないといけない。 しかし子ゆゆこはどうしたらいいのかわからない。 「ハフ……」 突然、1匹になってしまった虚無感に、子ゆゆこは包まれていた。 どうしたらいいのかわからない子ゆゆこは、取りあえず洞穴に戻っていつも通りの生活を続けていた。 しかしここは群れから餌がないと判断された場所。しばらく必死に探してみたものの、1匹のゆっくりも見つからない。 「……こぼね」 取りあえず周りに生えていた植物を食べて飢えを凌ぐが、ゆっくりゆゆこの腹がそれぐらいで満腹になるわけがない。 ひたすらに空腹と、それ以上の孤独感に耐えながら子ゆゆこは日々を過ごしていた。 ある日、子ゆゆこは久しぶりの大物を見つける。 それは子を産んだばかりのゆっくりれいむの家族だった。 「や、やめてね! れいむはよごれてるからおいしくないよ! ゆっくりできないよ!」 「あっちいってね! むこうでゆっくりしていてね!」 親れいむが前に出て子供を庇おうとしている。 子ゆゆこはせっかく見つけたごちそうながら、食べようとはまるで思っていなかった。 飢えはまだ植物や虫でぎりぎり我慢できている。 それよりも久しぶりに、誰かと話せる事に期待が高まっていた。 「こ、こぼね……こぼね」 「しらないよ! れいむたちはれいむたちだけでゆっくりするよ! あなたはどこかへ行ってね!」 「ゆっくりできないから早くどこかいってね!」 子ゆゆこの言葉に罵声を浴びせ続けるれいむ達。 いくら話しかけても、れいむ達は聞き入れようとしない。 「ごぼねぇ……」 子ゆゆこの目に涙が光る。 その瞬間を、親れいむは見逃さなかった。 「みんなゆっくりしないでね! 急いでにげてね!」 「あなたはそこでゆっくりしてね! おってこないでね!」 「は、ハフッ!?」 涙が乾かない内に、れいむ達は走り去ってしまった。 「ごぼね゛……」 子ゆゆこは苦悩する。どうして話をしてくれないんだろうと。 子ゆゆこは、今まで他のゆっくり達を餌としか思っていなかった。 そんな中、いきなり友好的になっても信じるゆっくりがいないのは当然だ。 そんな理屈も、ただ本能に任せて狩っていた子ゆゆこには理解できない。 残ったのは寂しさと、お腹から訴えかけてくる空腹だけだった。 れいむの家族を逃してから1週間。 「……は、ハフッ。……は、はは、ハフッ」 体を重く感じながら、子ゆゆこは餌を探していく。 植物や虫しか食べていない体は急激に衰えていき、今では見る影もなくやせ細っている。前ならどれだけ動いても疲れなかったのが、今では数メートル動いただけでくたびれる始末だ。 今や子ゆゆこの中に孤独感はない。 砂漠の砂のような飢えが、子ゆゆこの体を突き動かしていた。 まずは植物を食べようと森へ向かうゆゆこ。辺りの花や草はほとんど食べてしまい、今や生木の皮を剥いで食べている。 そのまま樹木に齧り付いたりもしたが、さすがの子ゆゆこも樹を噛み砕くことは出来なかった。 白い身を晒して立っている木々。まだ食べていない樹はあるかと子ゆゆこは探していく。 そこに、懐かしい匂いを感じ取った。 「こっ!?」 この近くにゆっくりがいる! 力の入らない体を酷使して、獲物へ近づいていく。 そろそろ本当に体力の限界が近づいてきた時、木々の間を縫って歩くゆっくりを見つけた。 もう躊躇はしない。 「こぼねぇぇえぇぇえぇえぇえぇぇえっ!!」 飢えの勢いをそのままに、ゆっくりにかぶりついた。 「ハフッ!?」 「ハフ、ハフハフッ!!」 必死に体を食べ尽くしていく。 しかし3分の1ほど食べたところで、子ゆゆこは食べているゆっくりの顔を見た。 ゆっくりゆゆこだった。 「うぶっ!?」 体の奥底から湧いてきた吐き気に、思わずその場を離れて嘔吐した。 口の中からは、まだ消化しきっていなかったゆっくりの欠片が流れ出ていく。 それは、自分の体と同じものだ。 「うっ!?」 強烈な嫌悪感に蝕められ、子ゆゆこは続けて嘔吐した。 突然襲われた事に、ゆゆこは呆然としていたが、相手が苦しんでいるのを理解すると、そのまま逃げようとする。 「こ、こぼねぇぇええぇえっ!!」 「ゆっ!?」 急いで話しかけようとするも、既にゆゆこは走り出し、側からいなくなっていた。 思わず、宙を仰ぐ子ゆゆこ。 そのまま寝そべると、苦悶に顔をゆがめて叫び始めた。 「ぁああぁあぁぁぁあぁああぁあっ!!」 共食いをしてしまった事実。 また新たに襲ってくる孤独感。 吐いたことによって高まった空腹。 そのどれもが、自虐的に子ゆゆこを責め立てる。 やがて叫びが止むと、子ゆゆこはその場を動かなくなった。 もう、動く気力も体力も残されていなかった。 「ゆゆっ? おかあさん、何かへんなものがあるよ」 「なんでもさわっちゃだめだよ、ゆっくりみせてね」 「おかあさん、これなぁに?」 「……なんだろう? おかあさんにもわからないよ」 「ふしぎだね! へんなかたちだね!」 「ゆゆっ、へんなものにちかづいてゆっくりできなくなったらたいへんだよ。ゆっくりはなれようね!」 「ばいばい~」 「ゆっくりしていてね!」 子ゆゆこの意識はたゆたっている。 何か考えていたのか、何も考えていなかったのか、子ゆゆこ自身も覚えていない。 ひらひらと吹く風に揺られる体の感覚だけが、僅かに子ゆゆこの意識を繋ぎ止めていた。 子ゆゆこは寂しかった。 子ゆゆこは悲しかった。 なにを間違えたのか、子ゆゆこにはわからない。 脳裏にふと過ぎるのは、一緒に過ごしたゆゆこと友達の姿。 そして今まで食べてきたゆっくり達の姿。 ほとんどのゆっくりは、絶望に歪んだ表情をしていた。 ごめんなさい……ごめんなさい……。子ゆゆこはひたすらに謝り続けた。 もう、酷いことをしないから許して欲しい。 だから、誰か応えて欲しい。 最後に誰かと話したい、子ゆゆこの願いはそれだけだった。 そんな気持ちも、いつしか意識と共に途切れていく。 もう子ゆゆこは、体も心も空っぽだった。 大きな風が吹く。 強風になびかれて、空っぽの体は空へ飛びだっていった。 どこへだって、飛んでいきそうな勢いだった。 End 前の話で俺のときめきを返してくれ、と感想があったので俺的に出来るだけ返してみた……つもり。 返せてないかなぁ、すっきりしない話だもんなぁ……。 最初は丸々と太ったゆゆこを炙り焼いて食べるような話を書いていたんですが、どうにもしっくり来なかったので練り直したらこんな話になりました。 書き終わってから、ケロちゃんの話に被ってると気づいたのは後の祭り。もう書き直すのは無理ジャー! なんか色々不満がありますが、楽しんでもらえたら何よりです。 by 762 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2759.html
竹取り男とゆっくり 幻想郷のある山の上に男が一人住んでいた。 野山に入って竹を取りつつ、よろずのことに使っていた。 男のもとには週に一度のペースで商人が竹を買いに訪れ、男はこの商人から食料を買って生計を 立てていた。 ある日のこと…。 いつも来るはずの商人が、この日はやって来なかった。 なにか都合があったのだろう…… 男は家の裏の納屋からホコリをかぶった荷車を引き出し、山のように竹を積んで自ら街におりて いった。 男の竹材は飛ぶように売れて、荷車は早くも空になる。 荷車の重みは男の財布の重みに変わった。 たまには美味しいものでも食べようと甘味屋通りに入ったところである。 「ゆっくりしていってね!!」 突然大きな声をかけられ、男が声のほうへ振り向くと、ガラスケースに入れられた生首が鎮座し ていた。 「なんじゃこりゃあぁぁっ!?」 男が絶叫すると、店主が中から出てきた。 店主は『ゆっくりまんじゅうの商品化』を知らない男を瞬時に"おのぼりさん"だと見抜き、丁寧に 説明した。 街にゆっくり加工場ができたこと。 まんじゅうの餡子には小豆よりゆっくりを使ったほうが安価で、味も変わらないこと。 男は次第に納得していった。 「おひとついかがですか?」 と勧める店主が出してきたのは、小さなプチトマトほどのゆっくりの赤ちゃんだった。 男が受け取ると、赤ゆっくりと目が合った。 「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!」 まだ生まれたばかりの赤ゆっくりは手のひらの上でフワフワと上下に揺れ、ミニチュアサイズの 赤いリボンもユラユラ揺れた。 どうやらジャンプしているつもりらしい。 うにうにとした感触が気持ち悪かった。 「食えるの? これ。てか俺食うの?」 「中の餡子もやわらかくておいしいですよ。召し上がってみてください」 「ゆーっ! ゆーっ! おじしゃん、りぇいみゅをゆっくちさせちぇにぇ!」 この赤ゆっくりはまだ幼すぎて、自分が食べられる対象だということが分かっていないようだ。 キラキラと目を輝かせて男を見上げ、けたたましく『ゆっくり』を繰り返した。 う~ん…と唸りながらも、男は意を決すると一息に口に放り込んで、歯ですり潰した。 「ゆぎゅ…っ」 一瞬だけ赤ゆっくりの断末魔が響いたが、すぐに独特の風味が口いっぱいに広がった。 「ウマー」 「気にいっていただけましたか? 今のは今朝うまれたばかりの赤ちゃんで、皮も餡子もやわらかく どなたにも気に入っていただけるんですよ」 「うめぇ! 3ダースくれよ!」 実は、男は大の餡子好きだった。 これまでたくさんの饅頭や羊羹を食してきたが、このゆっくり饅頭は格別だった。 「お客さま、実はこんな商品が……」 十分な手ごたえを感じた店主は、男に対しておもむろに話を持ちかけた 男が山の自宅に帰ったとき、すでに陽は落ちていた。 空の荷車を納屋におさめると、先ほど甘味屋で買った商品をテーブルにおいて一息ついた。 商品は紙袋につつまれて中は見えず、またかなり重かった。 「店主に勧められるままに買っちまったけど、いやに重いな。 …まぁ安かったからいいが」 事実、今日稼いだ金額にくらべれば、この商品ぐらいいくらでも買える値段だった。 店主は中身は秘密だと言った。が、必ず満足いただけるに違いないとも付け加えた。 「試食のゆっくりに大満足だったから信用して買ったが、あの店主やるな…」 週に一度しか商売しない自分とは手練手管が違っていた。 「ではさっそく」 男は気を取り直して包み紙を破った。 すると、中から出てきたのは透明のケース。そして直径20センチほどのゆっくりが二体、 ケースの中にぎゅうぎゅうにおさまってぐっすり寝ていた。 「でか…」 昼間の赤ちゃんがこれほど育つのか、と男は感心した。 実際にはもっと大きくなるが、男はまだゆっくりについてよく知らなかった。 右側には昼間見た赤いリボンをしたゆっくり。 左側には金髪に黒いとんがり帽子のゆっくり。 どちらも大きな口からよだれを垂らし鼻ちょうちんをふくらませた醜悪な寝顔だった。 そうして視線を移していくと、ケースの左横からテープが出ていて 『これを引いて起こしてください』 と書いてある。男は素直にそのテープを引いてみた。 すると、ゆっくりたちの床がスライドして、とんがり帽子のゆっくりが下の床に落ちた。 デンッ! 「ゆ゙っ!?」 とんがり帽子のゆっくりは落ちた衝撃で目覚めた。 「な~る♪」 男は仕組みを理解し、さらにテープを引いてスライドを抜き取った。 デンッ! つづいて赤リボンのゆっくりが落ちたが、こちらはまだ眠っていた。 「鈍感な奴だなぁ…」 「ゆうぅ……ゆっ?」 男があきれていると、先に目覚めたとんがり帽子が男に気がついた。 「ゆっくりしていってね!」 昼間、甘味屋通りに足を踏み入れた瞬間に言われたのと同じセリフ。 こいつらのあいさつ文句かと思い、男も同じセリフを返した。 「ゆっくりしていってネ!」 …返した後で、なにも声まで真似ることもなかったと後悔した。 「おじさんだれ? まりさ、おじさんのことしらないよ?」 こいつ"まりさ"って名前か。 「俺は今日お前らを買ってきたんだよ。まぁ飼い主みたいなもんかなぁ…」 「かいぬし? かいぬしってなんだかしらないけど、おじさんはゆっくりしてるひと?」 「んー、まぁゆっくりしてるかな」 こいつの『ゆっくり』という言葉の使い方に疑問を感じたが、適当に流しておいた。 「じゃあ、おじさんはまりさもゆっくりさせてね。ここせまいよ! ここじゃせまくて まりさゆっくりできないよ! おじさんははやくまりさをここからだして、ゆっくりさせてね!!」 なんだこいつら!(怒) 確かにこのサイズのゆっくりにこのケースは狭いと思うが、この偉そうな口調はなんだ。 しかもこの顔。 自信に満ちあふれて命令してくるこの憎たらしい顔! 「どうしたの? なんでだまってるの? おじさんばかなの?」 「むか!」 頭に血がのぼった瞬間、まりさの声にもう一体のゆっくりが目を覚ました。 「うー、うゆぅ…。 ……ゆ? まりさ、ゆっくりしていってね!」 「ゆ! れいむおきたんだね! れいむもゆっくりしていってね!」 まりさはそれまでのやり取りをすっかり忘れたような様子で、目覚めた隣のゆっくりとあいさつを 交わしていた。 え~と、この鈍感なのがれいむ…と。 俺は怒りをおさめ、れいむというゆっくりがどんな奴なのか観察することにした。 れいむとまりさは『ゆっくりしていってね』を何度か繰り返すと、お互いに頬擦りし始めた。 「きめぇ!」 だが、ちゃんと頬を擦りつける動作をするには、このケースが狭すぎた。 「ゆ? まりさ、ここせまいよ。これじゃゆっくりできないよ」 「そうだよれいむ。このおじさんがまりさたちをこんなところにおしこめたんだよ。おじさん、 ゆっくりしてないではやくまりさたちをここからだしてよ!」 「そうだよ、はやくだしてよ」 「どうしてつったってるの? ことばがわからないの? ばかなの?」 「ばかなの? おじさんばかなの?」 憤慨した!!! 「うらあっ」 押し込めたのは俺じゃねぇ! 俺はバカじゃねぇ! 男はちゃぶ台をひっくり返すようにケースを投げ上げた。 「ゆぶっ」 「ゆ゙あ゙あ゙ああぁ」 ケースは空中で勢いよく8回転した後、木製の床に落ちて盛大な音を立てた。 「こんのクソ饅頭がッ」 男の怒りはそれだけでおさまらず、大股にケースに近づいた。 「ゆぐっ…! おじさん…どうしてこんなことするの…ゆっくりやめてね…?」 ケースのふたが壊れて外に投げ出されたまりさは、男の形相に怯えて震える声でうったえた。 「おじさん、まりさとゆっくりし…」 だが、男はまりさの体をむんずと掴み上げると、思いきりぶん殴った。 「ゆぎゃんっ!!」 まりさの体は壁に叩きつけられて平べったくひしゃげ、ボタリと床に落ちた。 衝撃で頬の皮が破け、中の餡子が露出している。 「ゆ…ゆぶぅぅぅぅ……」 まりさがよろよろと起き上がると、破れた傷口から餡子が飛び出てしまった。 「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ばり゙ざのあ゙んごがあ゙あ゙ぁぁ!! どぼじでごんなごどずるの゙お゙お゙お゙」 まりさは涙や涎にまみれながら、歯茎をむき出してむせび泣いた。 「まりさ! まりさ! …おじさん、おねがいだから、まりさをゆっくりゆるしてあげてね!」 ふたの開いたケースから這い出たれいむは、さっきまで一緒に悪態をついていたことも忘れて まりさの命乞いを始めた。 だが、まりさは自分の命乞いをしてくれるれいむの気持ちを反故にするような言葉を発し始める。 「れいぶがわるいんだよぉおじさん! れいぶが…ゆっくりできないのはおじさんがばかだからって そういったんだよおぉぉ!」 このままでは殺されると感じたまりさは、すぐそれとわかるような嘘で男の注意をれいむに向け ようとした。 「ゆ!? ゆゆう!!?」 れいむのほうは、あまりに唐突なありすの言葉に、餡子脳が混乱して絶句してしまった。 「ゆぐっ、ぞうだよ、れいぶがわるいんだよ! ばりざはおじざんのごど、ごれっぼっぢもばがなん…」 「おら゙ぁ!」 「ゆがあ゙あ゙あ゙あぁぁぁ…ぶびゃ!!!」 まりさは男に蹴り上げられ、壁に叩きつけられて餡子を撒き散らした。 今度は打ちどころが悪かったようだ。 「ぐぽぇ…」 ボトボトボト。 口から大量の餡子を吐き出したまりさは、焦点の定まらない目をぐるんぐるんと回して倒れた。 男はおとなしくなったまりさをつまみ上げた。 「ごぷっ…ゆぐ…ゆぐ…ゆっぐじ…ざぜで…………ゆっぐじ…じだい…」 まりさはでろでろと餡子を垂れ流しながら、うわ言のようにつぶやいた。 口や傷から流れる餡子から、むあぁ…と甘ったるい臭気が上がる。 まりさの姿に、男もここへきて落ち着きを取り戻しつつあった。 「だんでぼ…ずる゙がら゙………ゆ゙る゙じでえ……ごろ゙ざな゙いでえ……」 「…もう悪態ついたりしないか?」 懇願するまりさを見て、男は念を押した。 「じばぜん…じばぜん…ゆ゙る゙じで……ゆ゙っぐじじだい゙……」 「…お前もしないか?」 さっきまでケースの中で一緒だったまりさに裏切られたり、そのまりさが殴られて蹴られて 瀕死の重傷を負わされる様子を見ていたれいむは恐怖と混乱で固まっていたが、急に男が自分を 振り向いたのであわてて我に返った。 「ゆ…ゆぇ!?」 「もう悪態ついたりしないか!?」 「ひぃっ! もうしません! ここでゆっくりしたいですうぅぅぅぅぅ!!」 「よし、じゃあ許してやる」 男はそう言って、涙やら涎やら傷口の餡子やらでぐちゃぐちゃになったまりさの体をつまみ上げ、 ケースを持ち上げてテーブルの上に据えなおした。 「ゆうぅ…ゆうぅ…」 いまだむせび泣いているボロボロのまりさと、震えているれいむの体をケースの隣に並べて置くと、 男は首をひねった。 「たしかにこのケース、小さいよなぁ」 男はケースと二体のゆっくりの大きさを見比べながらつぶやいた。 もはやゆっくりたちも狭いと文句を言うことはなく、言われるとおりにします、といった様子で うなだれている。 ふたも壊れちまったしなぁ…直るかな…?」 男は割れたふたをケースの上部に置いて、下から接着面を見上げた。 その時だった! まりさはそれまでの様子からは想像できない機敏さで、れいむの体を突き飛ばした。 ぐにゅ! 「うわっ!」 「ゆゆっ!?」 突き飛ばされたれいむは、ちょうどテーブルと同じ高さにあった男の顔面に衝突した。 体が饅頭でできているためか、れいむは男の顔面に張りついたままだった。 「こんなところじゃゆっくりできないよ! らんぼうでばかなおじさんはれいむといっしょに ゆっくりしねばいいよ!!」 なんと、今までの惨めな姿はすべてまりさの演技だったのだ。 傷は深かったが、体全体の餡子の量は致死量に至るほど失われてはいなかったのである。 こうして男がまりさを許して隙を見せるまで、まりさは演技を続けていたのだった。 「じゃあね! ばかなおじさんと、ばかなれいむ! まりさはもっとゆっくりできるところにいって ゆっくりいきていくよ!」 「ぐうぅ…」 「ゆっくりしね! れいむといっしょにゆっくりしね!」 すぐに逃げればいいものを、ご丁寧に口上を述べてからまりさはゆっくり逃げ出した。 「このやろう!!!」 男は顔かられいむを引き剥がすと、まりさを追って駆け出した。 小さなゆっくりと、大きな人間と。 まともに走って、どうして逃げられることがありよう。 男は簡単にまりさの逃げ道に立ちはだかった。 「このクソ饅頭…もう許さねぇ…」 「ゆぐ…ぐ……」 あれほど強気だったまりさは、恐怖のあまり再び泣き出した。 「ゆあ゙あ゙ぁぁぁんゆ゙る゙じでえ゙ぇぇぇぇ!! だだゆ゙っぐじじだい゙だげだっだの゙お゙お゙お゙」 まりさは歯茎を剥き出しにして、家も揺れんばかりな泣き声を上げた。 「ばじざはでいぶどい゙る゙の゙がい゙や゙だっだだげな゙の゙お゙お゙お゙!!! お゙じざんがでいぶを゙ お゙い゙だじでぐでだらい゙っじょに゙ゆ゙っぐじ…」 男はまりさを両手で持ち上げると、 「ふん!」 と両手の親指でまりさの体をぱっくり割った。 「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙な゙んでえ゙ぇ!? な゙んでごどずる゙の゙お゙お゙お゙お゙お゙!!!!」 まりさは足のあたりを真っ二つに裂かれ、黒々とした甘そうな粒餡を露出した。 「い゙だい゙よ゙おっ!! でい゙ぶぅ!! でい゙ぶぅ!! だずげでえ゙え゙ぇぇえ゙ぇぇぇ!!!!!」 どれほど汚いのか。 二度も裏切られたれいむが助けに来るはずもなく、遠くでこの惨状を眺めているだけだった。 誰も助けてくれないまりさはぐちゃぐちゃに顔をゆがめながら絶望を味わった。 男は湯気でも吹きそうなくらいホクホクとしたまりさの餡子に顔を近づけた。 「ゆ゙ががあ゙あ゙あぁぁぶばああっぁぁぁぁあ゙っ!!!!」 途端にまりさは断末魔のような叫びを上げた。 「ずわ゙な゙いでっ! だめ゙えぇぇぇえぇばでぃざのあ゙んごずっぢゃだべえ゙え゙ぇぇ!!!!」 生きたままジュルジュルと体内の餡子を吸い出されていくおぞましい感触。 命の源の餡子を断続的に吸われるたびに、まりさは激しい苦しみに襲われた。 吸い出せる餡子が少なくなってくると、男は舌を伸ばしてまりさの体の中を舐め上げた。 「うゔっ…うぎゅゔっ! ……ぐ…ぶっ…! ぶゅぐっ…ぎゃびゅ! ………」 遠のいていく意識の中、男の舌で皮の内側を舐め上げられるたび、痛いような、くすぐったいよう な感覚が全身を走った。 9割ほどの餡子を男に食べられたまりさは、だらんと舌を垂らして白目を剥き出したまま ビクンビクンと痙攣を繰り返した。 「ぷはぁ…!」 男は真っ二つに裂かれたまりさの切り口から顔を上げた。 性格は言い表せる言葉も見つからないようなド腐れ外道だったが、餡子の味はなかなかのもの だった。 皮の外側のまりさの顔を見ると、白目を剥いたまま昇天していた。 カタカタカタカタカタカタ…… なにか硬質のものが打ち合わされる音がしたので見てみると、れいむが男を見上げたまま歯を 鳴らして震えていた。 「ああ…俺な…餡子が好きなんだよ。餡子"だけ"が好きで好きでたまらないんだよ…。もしも ナマ言ったり逃げたりしたら、お前もこいつみたいに中身だけ食い荒らすぞ」 男はヒラヒラと、ゆっくりまりさだったものの皮を振って見せると、それを生ゴミ入れに乱暴に 投げ捨てた。 「ゆぶぇ…」 れいむはその瞬間、恐怖のあまり口から一握りの餡子を吐き出して失神してしまった。 男はれいむをつまみ上げるとケースの中に入れた。 壊れたふたは、もう必要ないので捨てた。 終 続編 ~あとがき~ なんか目覚めたので書いてみた。 関連スレに感想くれたら嬉しい。 「虐待厨氏ね!」でもべつにかまわんよ。 耐性ついてるしガードも堅いから。 読んでくれた人、ありがとな。 ではまた~。 ~追記~ 一部に誤表記があったので訂正。 あと、アク禁で書き込めなかったのでここで。 感想と訂正箇所教えてくれたみんなサンクス。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4764.html
ゆっくりできない四畳半 住宅街から少し離れた河川敷の橋の下。 そこに一匹の身重のれいむが居た。 ゆらゆらと体を揺らしながら幸せそうな顔で歌を歌っている。 「ゆ~ん♪ゆ~ん♪」 周りの草花もれいむに合わせて踊っているかの様に風に揺れる。 その柔らかな風がれいむの頬を撫でた。 すぐ側を流れる川が太陽の光を反射してキラキラとれいむを照らす。 顔をあげて空をゆっくりと流れていく雲を眺めてれいむがにっこりと微笑んだ。 「ゆ~っ!とってもゆっくりできるねっ!」 れいむは群の幼馴染のまりさと番になった。 元々住んでいたゆっくりプレイスはあまり餌が豊富でなかった為に子供を作る事ができなかった。 そこで2匹は群を離れて山から下り、この河川敷に移り住んだのであった。 最初は元のプレイスを出て新たな環境での生活に不安を感じていたが、 草むらに住む豊富な食料や雨風を凌げるホームレスが捨てた家は、 2匹に以前のプレイスよりも裕福なゆっくりライフを提供をしてくれた。 群の仲間からゆっくりを見つけると襲い掛かってくると聞かされていた人間も 「ゆっくりしていってね!」と元気に挨拶をすれば気さくに返事を返してくれた。 きっと無断で人間のゆっくりプレイスに入り込んで、悪さをしたゆっくりの戯言だったのだろう。 そんな事をしたら怒るのはゆっくりでも同じである。 れいむは今までのゆん生の中で最も幸せを感じていた。最もゆっくりしていた。満たされていた。 そう、次の瞬間までは 「ゆっくりにげるよっ!こっちこないでねっ!あっちいってねっ!」 遠くからぽいんぽいん!と草むらを跳ねてくる丸い影。 あの三角帽子のシルエットはれいむの番のまりさである。 しかしまりさの様子が何やらおかしい。 全身から汗を垂れ流して息を荒げながら必死の形相でこちらに叫んでいる。 「ゆっくりかくれてねっ!れいむ!ゆっくりかくれてねぇぇ!」 まりさの取り乱した声をゆっくりと聞いたれいむは顔を強張らせる。 群で一番ゆっくりしていたまりさとは思えない焦りようからも事態の深刻さが伺えた。 「ゆゆっ!れいむはゆっくりかくれるよ!」 れいむはビールケースとビニールシートでできたゆっくりプレイスの影に身を潜める。 れいむがゆっくりと身を隠した事を確認すると まりさは身をひるがえしてあさっての方向にその進路を変えた。 「ゆっくりまがるよ!まりさはこっちへ逃げるよ!あっちにはいかないでね!」 時折後ろを振り返りながら大声で叫ぶまりさ。 恐怖で震えるまりさの視線の先には、まりさとは比べ物にならない程の大きなシルエット。 それは人間だった。 まりさは人間がゆっくりプレイスへ近づかないように誘導していたのだ。 しかし人間は必死に声を張り上げるまりさの方へは向かわずに真っ直ぐにれいむの居る方へ進む。 その様子を見てまりさは驚きの表情を浮かべて立ち止まった。 「ゆっ!なにしてるの!まりさはここだよ!かわいくてごめんね!」 まりさの呼びかけを無視してれいむの居る方向へ歩みを進める人間。 まりさはオロオロと取り乱した顔をしながら人間を追いかける。 「ゆっ!ゆっ!やめてねっ!そっちにはなにもないからねっ!ゆっくりやめてねっ!」 目に涙を溜めながら人間と併走して叫ぶまりさ。 まりさを無視して歩みを進める人間はれいむとまりさのゆっくりプレイスの前で足を止めた。 プレイスの影からそっとを身を乗り出して人間の様子を伺うれいむ。 「ゆっ・・・!ゆゆっ?」 れいむは人間の顔を見て僅かに安堵した。 人間の表情には怒りとか悲しみといった負の要素は感じられなかった。 むしろゆっくり的にはゆっくりしていると感じた。 まりさが不注意で人間の家に迷い込んで粗相をしてしまったのかも知れない。 自分達は人間に危害をくわえるつもりが無い事を伝えればわかってくれる筈だ。 そして理由を聞いてこちらに比があればゆっくりと謝罪しよう。 れいむはそう思ってプレイスの影から一歩足を踏み出した。 恐怖に引きつった顔を引き締めて精一杯の笑顔を浮かべる。 「ゆっ♪にんげ」 次の瞬間、雨さんや風さんがどんなに機嫌が悪くても微動だにしなかった れいむとまりさ自慢のゆっくりプレイスが粉々に砕けながら上空に舞い上がった。 吹き飛ぶビールケースに体をぶつけたれいむが草むらを転がる。 「ゆ゛っ!ゆっくりっ?ゆっくりぃっ!?」 雨の様に降り注ぐプレイスの破片。 まりさが産まれてくる子供たちの為にせっせと集めていた餌が地面に落ちて音を立てて散らばる。 体を掠めて地面に突き刺さるビールケースに驚いてれいむは「ゆぴぃ!」と声をあげて地面に縋り付いた。 体を縮こませながら小さく震え、目を見開いて崩壊していくプレイスをただ見つめる事しかできなかった。 崩れたプレイスの奥から顔を除かせる足を振り上げた人間。 2匹の自慢のゆっくりプレイスは人間が足を振り上げただけでいとも容易く崩壊してしまったのだった。 「どうじでごんなごどするのぉぉぉ!あやまってねっ!ゆっくりあやまってねっ!」 まりさが人間の足に体当たりしながら涙を撒き散らして叫ぶ。 しかし相手がゆっくりならば一撃で昏倒してしまう程の勢いで 体当たりを続けているのにも関わらず人間は微動だにしない。 逆に人間の脛の辺りに体当たりをしてしまい、その硬さと痛みにまりさの動きが止まる。 「あ゛や゛ばっ・・・・ゆっくりい゛だい゛っ!!」 ズルズルと滑り落ちて人間の足にもたれかかるまりさ。しかし弱みを見せるわけにはいかなかった。 歯を食いしばって涙がこぼれるのをグッと堪える。番のれいむの前で情けない姿を見せるわけにはいかない。 まりさがキッ!と人間を睨みあげる。 まりさから見た人間はまるで巨大な塔の様に聳え立ち、その視線はれいむの方へ向いていたが、 ギョロリとまりさを見下ろす。海底の沈殿物の様な黒い両眼。まりさと人間の目が合う。 ゆっくりにとっては遥か上空から見下ろすその眼にまりさは思わず身を振るわせる。 「ゆぴぃ!!」 数秒前の決意も空しく涙を垂れ流しながらのけぞるまりさ。 そんなまりさの頭を人間が鷲づかみにして持ち上げた。 スーッ!と天へ登っていくまりさ。その視点の高さに血の気ならぬ餡子の気が引いていく。 「ゆぅぅぅ!!たかいぃぃ!!ゆっくりたかいぃぃ!!まるでおそろろらろっ!?」 本能的に「まるでお空を飛んでるみたい」と口にしようとしたが、恐怖の余りそれさえもままならない。 まりさには広大なサバンナの様に感じていた草むらがジオラマの様に一望できる。 その光景にまりさは下腹部がキュッと縮こまるような妙な感覚が走った。 これが人間の視点だった。勝てない。勝てるわけが無い。まりさの心は容易く折れてしまった。 降参の合図の様にまりさのしーしーの穴が膨れ上がりジョロジョロと甘味を帯びた水が地面にこぼれ落ちた。 自分の体からだらしなく排出されるしーしーを見てまりさが頬を赤らめながら涙をポロポロと零した。 「ゆ゛っ!みないでねっ!みないでねっ!」 人間とれいむに向かって涙交じりの声を張り上げるまりさ。 これから赤ゆっくりを設けて一家の大黒柱になる筈だったまりさの痴態を見て 地面に張り付いて事の成り行きを見守っていたれいむが「うゅゅ」とすすり泣く。 人間は表情を変えることも無く、まりさの顔をつまらなそうに眺め続けた。 「やべでねっ!もうおろしてねっ!ゆぅっ!!ゆっぐりざぜでぇぇぇぇ!」 人間の手から逃れようと「じたじた」と身を震わすまりさだったが、 最後の一滴がこぼれ落ちるまで人間の視線はまりさに注がれ続けた。 しーしーを出しつくして屈辱に塗れた表情でグッタリとうな垂れるまりさ。 人間はまりさのお飾りである帽子を奪い取ると無造作に地面に投げ捨てた。 涙も枯れ果てて真っ赤になったまりさの目が見開かれる。 「ゆぅ!!なにしてるのぉっ!やめてねっ!まりさのお帽・・・じッ!!!」 声を張り上げようとしたまりさの顔面に人間の平手がめり込んだ。 ビリビリとした衝撃がまりさの中を駆け巡る。 今までのゆん生の中で経験した事の無い激痛。 痛い。怖い。ゆっくりできない。人間さんはゆっくりできない。 かえりたい。森にかえりたい。怖い。とにかく怖い。 「ゆ゛っ!・・・ぐっゆっ・・・!」 目をギュッと閉じてガタガタと身を震わせるまりさ。 人間はそんなまりさに気をかける事も無く、 まりさのおさげを解いて髪をパイナップルの様にまとめるとリボンできつく縛った。 「ゆ゛ぅぅぅぅ・・・!やべでぇぇぇ・・・!やべでねぇぇぇ・・・!」 涙で汚れた顔を更にグシャグシャにして力なく声を絞り出すまりさ。 しかしその声はピタリと止まった。 男の手に握られているのはライター。 その先から噴出する火を見てまりさが顔を強張らせる。 「ゆ゛っ!や、やめてねっ!あついあついはゆっくりできないよっ!」 「やべでねっ!まりさをゆっくりさせてあげてねっ!」 草むらに身を潜めていたれいむも人間の足に身を擦り付けて懇願を始める。 ライターの火から身を捻って体を遠ざけるまりさ。 しかし男の手に握られたまりさの体はこれ以上ライターの火から逃れる事はできない。 徐々にまりさの体に近づいていく炎。その熱にまりさは顔を歪める。 「ゆ゛っ・・・ゆゆっ!ごべんなざいぃぃ!よくわからないけどごべんなざいぃぃ!」 まりさはどうして今こんな事になっているのかわからなかった。 まりさの狩りをジッと見つめていたこの人間に元気良く挨拶をしただけである。 それなのに何故こんな事になっているのだろうか? わからない。わからなかった。しかしそれでもまりさは涙を流しながら必死に人間に謝罪した。 謝罪し続けるしかなかった。人間の気が変わって解放される事を祈るしかなかった。 「ごべんなざいぃぃぃ!ごべ・・・っゆ゛あ゛あ゛あ゛っ!!?」 まりさの謝罪は受け入れられなかった。 ライターの火はパイナップルのようにまとめられたまりさの毛先に引火した。 まりさの髪の毛がチリチリと炎に焼かれて煙をあげる。 「ゆ゛あ゛っ!ゆ゛っぐり゛!!ゆ゛っぐり゛ぃぃぃ!!」 男の手から開放されて地面を転がるまりさ。 草むらに頭を押し付けて火を消そうともがいたが、火の勢いは収まらない。 まりさの頭部に凄まじい熱気と餡子を抉るような鈍い痛みが伝わってくる。 「れいむ!だずげでえええ!ばやぐだずげでねぇぇぇ!」 「まりざぁぁぁぁ!まりざぁぁぁぁ!」 まりさがのたうちまわりながられいむの元を目指して転がる。 れいむはまりさに駆け寄って炎を消そうと舌をまりさの頭に近づけるが 炎に触れる前に煙が立ち上りグニャリと舌先が変形した。 「ゆ゛ぎゅっ!」 少し遅れて伝わってきた激痛にれいむは思わず地面に倒れこむ。 触っても居ないのにこの痛さ。頭を炎で焼かれているまりさの痛みは計り知れない。 まりさは目をこぼれ落ちる程に見開いて耳を劈くような奇声をあげながら地面に頭を叩きつけている。 このままではまりさが二度とゆっくりできなくなってしまう。 幼い頃から一緒に遊んで、歌って、狩りをしたまりさが居なくなってしまう。 れいむにとってまりさの居ないゆん生など考えられなかった。 「まりさぁぁぁ!お水さんだよぉぉぉぉ!ゆっくりしないでお水さんに飛び込んでねぇぇぇぇ!」 「ゆ゛あ゛あ゛っ!おびず!!お゛びずざん゛ん゛!!!」 まりさはギリッと歯を食いしばりながら身を翻して 川に向かってばすんばすん!と火の粉を撒き散らしながら弾んでいった。 「おーい、まりさ」 「ゆ゛っ!!!」 川まであと数歩の所で人間がまりさに声をかけた。 血走った目で川へ向かって飛び跳ねながら人間の方へ視線を向けるまりさ。 その人間を見たまりさの足が思わず止まる。 「ゆっくり戻ってね」 人間の手に握られたのはまりさの命と同じくらい大事な帽子。 その帽子には先程のライターがあてがわれている。 「ゆ゛っ!!な゛に゛じで!?な゛に゛じでぇぇぇぇぇぇぇ!?」 形相を浮かべながら川を流れる水と人間の握った帽子を何度も交互に見つめるまりさ。 早く水に入らないとゆっくりできない。でも帽子を焼かれたらゆっくりできない。 頭の上では熱くて痛い塊がバチバチと唸りを上げている。 まりさの体が自然に川へと向かって擦り寄った。 「ゆっくり戻れ」 先程より冷たく重い人間の声。まりさの動きがピタリと止まる。 戻って帽子を返して貰わないといけない。でも水に入らないとゆっくりできない。 しかし火を消しても帽子が無いと一生ゆっくりする事はできない。 でもまず水だ!しかしその前に帽子を!でもこのままだと!しかし!でも!しかし! 帽子!水!ゆっくり!帽子!水!ゆっくり!帽子!水!ゆっ・・・ プツッ! 答えを導き出す事無く、まりさの命は時間切れになった。 熱がまりさの泡だった頭皮を溶かして破き、鈍い音と共に噴水の様に餡子がビュルビュルと噴出した。 「びばっ!ばっ!ばばばばばっ!」 一瞬にしてゆっくりの生命を維持する餡子の大半を失って痙攣をはじめるまりさ。 噴出した餡子によって火は消えたが、それと同時に命の灯火も消えてしまった。 ぶるんぶるんと操り人形の様に身を揺らすまりさを見てれいむが叫び声をあげた。 「まりざぁぁぁぁ!まりざぁぁぁぁぁ!ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」 「狩りにいってくるねっ!」と何時ものように元気な微笑みを浮かべて草むらへ跳ねていったまりさが 今は目の前で白目を剥いてだらしなく舌を垂れ流して痙攣しながら餡子を撒き散らしている。 どうしてこんなことに。まりさはついさっきまであんなにゆっくりしていたのに。 「どぼじでええええ!どぼじでえええええ!」 れいむは痙攣をやめて崩れ落ちるように地面に倒れこんだまりさの元へフラフラと向かう。 しかしその歩みはたった数歩で止まった。 激しい下腹部の痛み。 まだ赤ゆっくりを出産する時期では無かったが、 まりさの死に直面したショックで本能的に子孫を残すべくれいむが産気ずいた。 「う゛っ!うばれ゛る゛ぅぅぅぅぅ!」 歯茎を剥き出しながらギリギリと歯を鳴らして 涎と汗をダラダラと垂れ流しながられいむは丘に打ち上げられたトドの様に地面に横たわる。 その光景を醒めた目で眺める人間。 「ゆっぐりじでいっでね!おぢびちゃん!お外はゆっぐりできないよぉぉぉっ!」 必死に産まれ落ちようとしている赤ゆっくりに語りかけるれいむ。 気がつくと人間はれいむの傍らに膝を曲げて腰を下ろしていた。 まりさをあんなにもゆっくりできない方法で嬲り殺しにしたというのにも関わらず全く悪びれない表情。 こんな事をしたのに午後までゆっくりと寝過ごしてしまったかの様なとぼけた顔。 れいむのゆん生の中で湧き上がったことの無い煮えたぎる様な怒りの感情。 その「ゆっくり」とは間逆の感情を抑えることが出来ずに れいむはクワッ!と目を見開いて人間を睨みつけると狂ったように叫んだ。 「じねぇぇぇぇ!ゆ゛っぐり゛ごろじはぞぐざにじね゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!」 首を振り回して唾を撒き散らしながら大口を開けて人間を罵倒するれいむ。 しかしそれでも人間の表情は変わらない。 人間は地面に落ちている石を拾い上げてれいむのまむまむに宛がうと れいむを蹴り飛ばした。 「んぎゅんッ!」 強引にまむまむに蓋をされて出産を阻止された。 ぷるんぷるんと体を波打たせながられいむが地面を弾む。 コロコロと地面を転がり仰向けになった所でようやくれいむの体が止まった。 全身を駆け巡る激痛に白目を剥いて痙攣するれいむ。 その視線の先には先程と変わらないゆっくりと流れる雲。 れいむがこんなにもゆっくりしていないのに、雲さんは何をそんなにもゆっくりしているのだろう。 憎々しげな視線を空に向けていたれいむだったが、その視線が人間によって遮られる。 れいむの視界が人間の振り上げた足で一杯になった瞬間、その意識はプツリと途切れた。 それから数日後 薄暗い廊下を進む男。 男の足音と時計の針が時間を刻む音だけが辺りに響く。男が立ち止まった先には固く閉ざされた扉。 そこは未整理の品々が乱雑に置かれた物置だった。その一角のクローゼットに男は手をかける。 ギィ 木材の軋む音。開かれたクローゼットの中は空っぽだった。 物が何も置いて無いという意味ではない。本当に何も無かった。 ただの空洞。トンネルの様にただそこに置かれているだけだった。 目の前には再び扉。クローゼットはこの扉を隠す為だけに存在していた。 男はポケットから鍵を取り出し、その隠し扉の南京錠にそれを差し込んで扉を開いた。 中は四畳半ほどの狭い空間。 部屋の脇の棚にはうず高く積まれた水槽。その水槽の中には無数のゆっくり達が蠢いていた。 ゆっくりすることを信条としてゆっくりできる者ほど優れた個体とされるゆっくり達だったが、 ここに居るゆっくり達の表情はおおよそ「ゆっくり」などという単語とはかけ離れていた。 虚ろな目で薄笑いを浮かべて虚空に目を泳がすだけのゆっくり。 ひたすら痙攣を繰り返し時折耳を劈くような奇声を上げるゆっくり。 息絶えた親ゆっくりの体に無数に埋め込まれた狂ったように泣き叫ぶ赤ゆっくり達。 延々とすっきりを行い頭から生える実ゆっくりを奪い合うように喰らう番のゆっくり。 すべて男の仕業だった。 自然に住む野生のゆっくり、街に住む野良ゆっくり、誰かに飼われていたであろう飼いゆっくり。 それらを見境無くここに連れ込んで虐待と更なる虐待の為の治療を繰り返した。 多くのゆっくりは命を落としたが、 その前に精神を病んで奇行に走り出したゆっくりを棚に並ぶ水槽に入れて延命させた。 それが男の今のコレクションである。 それには何の意味も無かった。飽きればゴミのようにそれを捨てるだろう。 部屋の真ん中の作業台の上に置いてある透明な箱の中にまだ精神を病んでいないゆっくりの親子が居た。 数日前に番のまりさを殺されて、ここに連れて来られたれいむとその赤ゆっくり達だ。 棚に陳列された精神を破壊されたゆっくり達の視線に怯えながらこの薄暗い部屋の透明な箱の中で れいむは7匹の赤ゆっくりを出産した。れいむ種が5匹、まりさ種が2匹。 この8匹のゆっくり達はこれから数時間で死ぬか、棚の水槽で死んだように生き続ける事になるだけの存在。 少なくともこの時点では、このゆっくりの親子達には逃れられない2つの運命が待つのみだった。 「い゛っい゛や゛じゃぁぁぁ!!ばなじでにぇぇぇぇ!!」 もみあげをパタパタと振りながら赤れいむが身をよじって男の手の中で暴れる。 男は手のひらの赤れいむを人差し指と親指で摘み上げると潰れる限界までその体を押し潰した。 赤れいむの動きはピタリと止まり顔を真っ赤にして涙を零しながら小さく呻き声をあげる。 「んぎゅ・・・・!んぎゅぅぅぅぅぅ・・・・!!」 「やべでええええ!やべでね!おちびちゃんはいやがっでるよぉぉぉ!」 透明な壁に顔を押し付けて号泣する親れいむ。 男は空いた片方の手を机に滑らせると一本の針を取り出した。 その先端を赤れいむに突きつける。 顔を真っ赤にしながら圧力に耐える赤れいむの顔が更に醜く歪む。 「やべちぃぇぇぇ!ゆっぐちちゃちぇてぇぇぇぇ!」 「ゆっくりさせてぇぇぇ!おちびちゃんをがえじでぇぇぇ!」 水槽の中から嗚咽を漏らす親れいむ。 それにしがみ付いてブルブルと身を震わせる赤ゆっくり達。 男はそれをつまらなそうな目で見下ろした。 男にとってそれは腐るほど見た光景だった。心底どうでもいい光景だった。 芸の無いテンプレートな台詞に苛立ちを覚える程であった。 男が小さくため息を吐いた。 身重だったかられいむ種の方を選んだが、やはりまりさ種を持ってくるべきだった。 れいむ種はつまらない。殆どのれいむ種は虐待を前にして泣き喚くだけである。 この状況を打開しようとする意思が無い。その点まりさ種は違う。反応が多彩だ。 子を捨てて逃げ出す者。子を差し出す代わりに自分を見逃して欲しいと懇願する者。 自分の身を差し出す代わりに子を見逃して欲しいと懇願する者。 なんとかこちら側に入ろうと画策する者。その反応は多岐にわたる。 「返してやろう」 男は針を床に投げ捨て、果物ナイフを手に取ると淀みない動作で赤れいむの頭部を切り開いて 小指で中の餡子をクルリとひとかきすると頭部を閉じてオレンジジュースが入った小皿に 赤れいむを軽く浸して傷を塞ぎ、箱の中に赤れいむを投げ入れた。 親れいむにはこの一瞬の動作を認識することができずに、赤れいむは無傷で返されたと思った。 目を輝かせながら転がる赤れいむに擦り寄ると、涙を零しながら満面の笑顔を浮かべた。 「ゆっ!おちびちゃん!よかったね!ゆっくりしようね!」 「ゆっ?ゆっ?ゆっ?ゆっ?」 しかし赤れいむは箱の中でころころと転がり続ける。 他の赤ゆっくりや壁にぶつかってもその動きを止めない。 「ゆぅ!?どぼじだの!?おちびちゃん!ゆっくりしようねっ!」 「ゆ゛っ!あばっ!ばばばっ!ばひっ!」 男の手によって中身の餡子をかき混ぜられた赤れいむは 思考を司り、体の動きをコントロールする中枢餡が破壊された為に体は動いているが、 既に死亡していた。 そして姉妹のゆっくり達を払いのけて狂ったように透明な壁に何度も体を叩きつけていたが、 突然赤ゆっくりらしからぬ無駄に立派なぺにぺにをそそり立たせると 「へひっ!ゆ゛っ!しゅっ!しゅしゅっ!しゅきりぃぃぃぃ!!」 と焦点の合わない目を輝かせながら絶叫するとぺにぺにから餡子を噴出させた。 そのまま仰け反るように倒れこみ噴出させた餡子を全身に浴びる。 「しゅっきり!!しゅっきり!!しゅっきり!!しゅっ!しゅっ!しゅっ!しゅっ!」 体の餡子を出し尽くした後も満面の笑顔で痙攣しながら悶えていた赤れいむだったが、 突然この世の終わりのような苦悶の表情を浮かべた途端、 親れいむから4番目に産まれた赤ゆっくり、四女れいむは動かなくなった。 四女れいむの奇行に身を震わせて親れいむの後ろに隠れてフルフルと身を震わせる赤ゆっくり達。 親れいむも歯をガチガチと鳴らしながらその光景を呆然と見ていた。 「なにごれぇぇぇぇ!」 「ゆっぐりできないぃぃぃぃぃ」 「きょわいよぉぉぉ!」 「だしゅげでえええええ」 そんなゆっくり達の様子を詰まらなそう見ていた男が口を開く。 「腹が減った。お前らの中から3匹差し出せ、食べるから」 「ゆ゛っ!!!」 その言葉に親ゆっくりは目を見開く。 そして顔を強張らせながら男を見上げて恐る恐る口を開いた。 「ぞっ・・・ぞんなのえらべるばけ」 「全員食べてもいいんだぞ」 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 男から放たれた冷たい一言。 れいむは歯茎を剥き出して叫んだ。もう叫ぶくらいしかできなかった。 男の手に渡ったおちびちゃんがあんな事になったのだ。 差し出せる訳がない。しかも食べると言っているのだ。 選べない。全員かわいいれいむのおちびちゃんだ。 選べる筈が無い。しかしだ。選ばなければ全員が食べられる。 選ばないといけない。選ばなければ。誰だ。いらない奴は誰だ。 れいむの餡子脳がグルグルと無駄な回転を始めた。 視線を下に移すと赤ゆっくり達が身を摺り寄せながらプルプルと震えている。 親れいむにすがりつきながらもその目には微かな不信感が伺える。 まさか、まさかとは思うが自分が選ばれるのでは無いかという不信感。 選ばない!選ぶわけがない!そんな顔でこっちを見ないで!ゆっくり!ゆっくりできない! 答えなど出ない。視界が歪んで餡子が口から出そうになるだけだった。 いらない子など居ない。しかし選ばないと。いらない子など居ない。しかし・・・ れいむの餡子脳が無限にループを始めた。れいむの心は何故か楽しくなってきた。 こんな状況なのにれいむの心がゆっくりしはじめた。わからない。ただただわからなかった。 れいむの思考が行き場を失って安全地帯である「ゆっくり」に逃げ込んだのだ。 「ゆっ!まりさがいくのじぇl」 親れいむの泥沼に陥った思考を断ち切るかのように 三女の赤まりさがぽいん!と一歩前にでた。親れいむが驚いた表情で三女まりさを見る。 目には涙を溜めてガタガタと震えていたが、その瞳の奥には確固たる意思を感じた。 その目を見た親れいむはギリギリのところで精神の崩壊を免れた。 それは数日前まで一緒に暮らしていた幼馴染の番のまりさの目だった。 「おねぇちゃん!いもうちょを一緒に守ろうにぇ!」 「ゆ゛っ!!」 「どぼじで!?」 三女まりさの視線の先には長女れいむと次女れいむ。 2匹はクワッ!と目を見開いて驚きの表情を浮かべた。 何故こんな時にそんな事をいうの?バカなの?死ぬの?英雄気取りなの? 2匹は見事にシンクロした動きで口をパクパクさせながら首をフルフルと振り回す。 そんな3匹を交互に見ながらオロオロと取り乱す親れいむ。 「決まったようだな」 面倒くさそうにゆっくり達の三文芝居を見ていた男が箱の蓋をあけて手を伸ばす。 それに噛み付くようにしてくっつく三女まりさ。 一方、長女れいむと次女れいむは涙を撒き散らしながら箱の中を飛び回った。 「がっでにばなじをちゅちゅめにゃいでにぇぇぇぇ!」 「のーきゃん!のーきゃんだからにぇぇぇぇ!」 他の赤ゆっくりを突き飛ばしながら逃げまとう2匹。 男はそんな長女れいむを人差し指で押しつぶした。 「あっちいっちぇ・・・・・・ん゛ぎゅぶばッ!」 プパッ!と餡子と砕けた歯を撒き散らす長女れいむ。 パタタタタ!ともみあげを床に叩きつけて暴れるがそんなものでは男の指から逃れる事はできない。 徐々に長女れいむを押し付ける力が強くなる。 長女れいむは「げっ!げっ!」と変な声を漏らしながら悶絶した。 「ゆぴぇっ!ゆ゛っぐち゛ぃぃぃ!ゆ゛っぐぢぃぃぃ!!」 それを見た次女れいむはしーしーをぷしゃー!と霧吹きの様に垂れ流すとピタリと逃げるのを止めて 汗を垂らしながら死にそうな顔で微笑むと「ゆっくりのるね」と男の手に飛び移った。 男の手に齧り付く三女まりさ、餡子を吐きながら痙攣する長女れいむ、 目を丸めて呆然とする次女れいむを乗せた男の手が静かに箱の中から出て行った。 「洗って禿饅頭にしてから喰うか」 そう呟いて踵を返した男。 それが男の最後の言葉だった。 ガシャン! 作業台に乗った小物を撒き散らしながら男が膝から崩れるように倒れた。 男は胸を病に侵されていた。 医師は男に病状を伝える家族が存在しない事がわかると直接男に告知した。 淡々とそれを聞かされた男は残された時間で何かを成すべく奮起する事もなく、 かと言って残された時間を静かに有意義に使う事もなく、 目に付いた幸せそうなゆっくりをさらって虐殺をはじめた。 輝く未来に胸を躍らせるゆっくり達を蹂躙して弄ぶ事によって現状から逃避した。 男にはそれが楽しくて楽しくて仕方がなかった。 楽しすぎて残された時間がもう0になりつつあることも忘れてしまっていた。 後悔はあった。やり残した事は両手では数え切れない程あった。 しかし手からこぼれ落ちた3匹の赤ゆっくりと それを箱から形相を浮かべて見ているゆっくり達。 こいつらの末路を想像すると途端に楽しくなってきた。 自らの手を下さずに自然と崩壊していくゆっくりの親子。これは面白いかもしれない。 無表情だった男の顔に久方ぶりの笑みが浮ぶ。 その横をゆっくりとは思えない速さでぱしんぱしん!と弾む長女れいむが通り過ぎた。 目を血走らせて必死の形相を浮かべながら一心不乱に扉の外を目指す。 親も姉妹も見捨てて本能的にゆっくりできない場所からの逃走・・・。 本能的?どうだろうか?この糞袋は産まれて早々にゲスの才能を開花させたのかも知れない。 分厚い扉の隙間を抜けて長女れいむが四畳半の部屋を抜け出す。 恐怖に引きつった顔がコロリと笑顔に変わる。 「ゆゆん♪おそとに」 (でられないよ) 扉の隙間から手が伸びて長女れいむを捕らえた。 檻の様に5本の指が長女れいむの周りに突き刺さる。 「ゆぴぇっ!どいちぇにぇ!どいちぇにぇぇぇ!」 指の間に体を押し付けて尻を振って脱出をはかる長女れいむ。 男の指先に濡れた感触と弱々しい長女れいむの力が伝わってくる。 えぐえぐと嗚咽しながら長女れいむが耳障りな甲高い声で叫ぶ。 「どいちぇぇぇぇ!どげぇぇぇぇ!じじいいいいぃぃl!」 男は腕を手繰り寄せて後方へ振り下ろした。 指の牢獄が床を滑る。 指の間から醜く顔をはみ出しながら長女れいむも床を滑った。 再びゆっくりできない部屋に引きずり込まれる。遠ざかっていく扉の隙間。 まるで底の無い落とし穴に突き落とされるような感覚。長女れいむの表情が恐怖に歪んだ。 「ゆ゛ん゛や゛ぁぁぁぁぁぁぁ!!」 それと同時に長女れいむの足元に焼けるような痛み。 床との摩擦で長女れいむの体が擦り切れていった。 餡子を撒き散らしながら床を転がる長女れいむ。 男は最後の力を振り絞って立ち上がり、 倒れこむようにして四畳半の部屋から出ると扉を蹴り飛ばして閉じた。 中の音はもう一切聞こえない。 あの耳障りな奇声と嗚咽が嘘のように静まり返る室内。 時計の針が時間を刻む音だけが部屋の中に響く。 その微かな音も男の耳にはもう届いていなかった。 男は満足気な表情を浮かべると眠るように目を閉じて動かなくなった。 「じねぇぇぇぇ!じねぇぇぇぇぇ!ゆっぐちじねぇぇぇぇ!」 餡子を滴らせながら固く閉ざされてしまった扉に向かって 呪いの言葉を吐き続ける長女れいむ。その言葉は男にはもう絶対に届かない。 「ゆひゅーゆひゅー」と息を切らせながら天を仰ぐ長女れいむ。 赤ゆっくりにとっては遥か上空に佇む棚に並ぶ水槽の中の 「目」しかないつるつるの丸いゆっくりと長女れいむの目が合う。 (・・・ゆっくりしていってね) 「ゆ゛っ!!!」 突如聞こえた聞こえるはずの無いその声に長女れいむは 歯を剥き出して驚きの表情を浮かべてその場で飛び上がった。 そして着地した時の湿った音で自分の中身が取り返しのつかないほど 流れ出してしまった事に気がついて目に一杯の涙を浮かべた。 つづく ※ついに名前を貰ったよ!代表作が「お○んぽ大好き!みょんの大自然丸かじり」とかだったら 「お○んぽ丸かじりの人」とかになってたんだね!わかるよ!わからないよ! 今まで書いたもの ゆっくり見せしめ ゆっくり電柱 ゆっくり脳内補完 副工場長れいむの末路 ゲスの見た夢 元野良れいむの里帰り ゆっくりできない四畳半 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2614.html
シリーズの0話的な位置づけでお願いします あいも変わらず核弾頭です。多分過去最高レベルの 気分が悪くなったらユーターンを推奨します 独自設定あり 幻想郷の話です 「ゆ!!ドス!!どうしてゆっくりをみんなゆっくりさせる聖戦を思いついたの?」 幹部れいむはドスに質問をした。今まで気になっていたのだろう。 「ゆ?れいむ?どうしても聞きたいの?」 「どうしてもだよ!!聞いたらみんなをもっとゆっくりさせるインスプレーションが働くかも しれないよ!!」 「ゆ~~しょうがないね!!ゆっくり聞かせてあげるね!!」 ドスは自分の昔の話を語り始めた 昔のゆっくり これはドスがまだただのまりさで、子ゆっくりの時から始まる。 まりさのいた群れは森の山奥にあり、そこは天敵ともいえる動物が一切なく 個体数が増えすぎても雨などの事故等でうまく数が調整された土地であった。 みな特に食糧に特に困るという事が今までなく、みな思うがままにゆっくりしていた。 それもあってか不慮の事故という事故以外で死ぬゆっくりがいないため 何十、何百世代に渡って思う存分ゆっくりしたゆっくりしかいなくなり いつしかゆっくりこそが世界の頂点に位置する生き物だと考え始めていた。 ただ単に天敵という天敵がいないため思いあがったのだろう、餡子の記憶からも 天敵の存在は消え切っていた。 「ねえお母さん?なんでゆっくりは世界でもっとも素晴らしい存在なの?」 当時子ゆっくりだったまりさは母であるまりさに聞いたことがあった。 その返答に母まりさはにこやかに答えた 「あそこにいるまりさをゆっくり見てね!!」 まりさはゆっくりしているまりさをみた。 そのまりさは木の切り株の上に乗り、森の木々から漏れる日の光を浴びて気持ちよさそうに寝ていた 「まりさの姿をみてごらん!!なにかかんじるでしょ!!」 まりさはそのゆっくりをよく観察した。 日光を浴びてつやつや光る髪、光を浴びてその白い肌をさらに白く感じさせる肌、 そしてそのまりさの顔の素晴らしいゆっくり比。 まりさはこのまりさのゆっくりした姿をみて確信した。 どんな絵さんよりもとってもきれいで、神々しくて、なにより、なんて言えばいいんだろう。 「そう、それがゆっくりしているということなんだよ!!」 お母さんまりさは続けた 「とってもゆっくりしているでしょう!!あのまりさがとてもゆっくりするために あの木さんは切り株さんになったし、あのまりさがゆっくりお昼寝できるように 森の木さんがわざわざちょうどいいおひさまを用意してくれたんだよ!!」 まりさは母の言葉に感動していた 「ここにはどれだけ食べても草さんやキノコさんがゆっくりに食べられるために たくさん、勝手にはえてきてくれるのよ!!だからおちびちゃんも勝手にはえてくる ごはんさんをできる限りたくさんたべてあげて、ごはんさんの幸せ~にしてあげたり ゆっくりお昼寝してその場所を提供してくれた生き物が幸せ~になるようにしてあげてね!!」 まりさは母の話に元気よくうなづいた。 「ゆっくりわかったよお母さん!!ゆっくりはやっぱり世界で一番素晴らしい生き物なんだね!!」 母ゆっくりもそうよとうなずいた。 ある日 まりさと母ゆっくりがゆっくりお話しながら歩いていると、ボロボロになったれいむが倒れていた。 「ゆ!!お母さん!!」 「わっかているよ!!れいむ、大丈夫?」 まりさ親子はボロボロで倒れているれいむに駆け寄り、れいむを起こそうとする。 必死にやったのが幸いしたのか、れいむはかすかに反応し、意識を取り戻した。 「ゆ・・・・ゆっぐり・・・じでいっでね」 れいむはボロボロの体にも関わらず挨拶をした 「ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりしていってね!!」 親子はつい反応してしまった。 「れいむ?一体どうしたの!!いま治療するよ!!」 そういうとまりさは近くに生えていた薬草をかみ砕き、液状にした後れいむの体に擦り付けた 「ゆぴぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 傷口に染みるのか、れいむは悲鳴を上げた。 れいむの傷は自然についたものとは思えないような傷だった。 あんよは真っ黒になっており、あの真っ赤なリボンは真白になっていた。 体はこれでもかという程傷口があり、中には何かで切られた跡があった。 薬草で応急処置を行った母まりさは大きな葉っぱを持ってきてその上にれいむを乗せて 群れの広場へ運び始めた。その間、まりさはれいむを励ましていた。 ―ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「今考えてみれば、あれがすべてのはじまりだったよ」 ドスまりさは楽しかった日々を懐かしく思う様な眼で語った。 「ゆ?ということはそれから始まったんだね!!ゆっくりのためのジハードが!!」 「そうだね、すべてのきっかけはそれからだったよ!!それからね・・・・」 ―ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 群れに着くと群れのみんなはあまりにもゆっくりできなくなってしまったれいむを 哀れんだ。 今村で唯一ある診療所で本格的な治療が行われていたが、あれだけの傷にあんよのあり様、 どうかんがえてもれいむが再びゆっくりできる日々はもうこないだろう。 診療所の入口でれいむを連れてきたまりさ親子は内心怒っていた。 一体だれがこんなひどいことするの!!ゆっくりをゆっくりできなくさせたら みんなゆっくりにも幸せにもなれないよ!!なんでそんなことするの!! これは群れのゆっくりみんながそう思った しばらくすると、診療所のパチュリーが入口から出てきた 「むきゅ!!れいむの治療がおわったわ!!傷は応急処置が良かったこともあってか餡子さんの 流失を止められたわ!!ただあんよの怪我はどうにもならなかったわ・・・。 あんなけが始めてよ!!たぶん自然につくものじゃないわ!!」 群れのゆっくりはやはりという顔だった。 「とりあえず、しばらくは絶対安静よ!! なんでこんな事が起こったかはぱちぇが聞いておくわ!!」 そういうとぱちゅりーは中へと戻って行った。 群れのみなはひと安心し、それぞれお家へ戻って行った まりさ一家もひと安心し、お家へともどっていき最後の平穏な一日を過ごした。 翌日、ボロボロになったれいむから話を聞いたパチュリーから語られた内容はゆっくり達には騒然たる ものだった。 そのれいむはとある広場を散歩している最中、みたこともないゆっくりプレイスをみつけ わざわざれいむのために開けられた入口からお家に入り、ゆっくりしていた所に 人間と呼ばれる生き物が侵入し、れいむのゆっくりプレイスに侵入し、ゆっくりプレイスを 奪うだけでなくれいむをここまでボロボロにしたのだ!! 群れのゆっくりは激怒した れいむをゆっくりさせるためにできたお家を横取りした生き物!! ゆっくりをゆっくりさせることをしない生き物、人間!! 群れのゆっくりは人間という生き物をゆっくりの力をもって駆除することを決定した。 ゆっくりの力・・それはゆっくりをゆっくりさせるために作用する力を人間に ぶつけるという力だった。 まあ早い話、ゆっくりをゆっくりさせてくれる風さんや日光さんがゆっくりをゆっくりさせる ために働いてくれるから、その力で人間が苦しんで反省するその様を見に行こうというものだ。 群れのゆっくりはその日の正午に群れを出発した。 その一群の中に、あのまりさ親子の姿もあった。 お母さんの教えてくれたことに深く感動し、それに反する生き物の存在を子まりさは その正義感から許せなかったのだ。 心配だからとついてきた母の他には、子まりさの妹にあたるまりさもついてきた。 妹まりさは尊敬する姉のまりさの雄姿がどうしてもみたいと駄々をこね、無理やりついてきたのだ。 参加したゆっくりのほとんどはゆっくりをゆっくりさせてくれるものが人間という生き物を 懲らしめてくれるからそれを遠目でみようというまるで遠足に行くような考えで いたため、参加したゆっくりの中には赤ゆっくりや子ゆっくりの姿もちらほら見えていた。 ゆっくり移動すること三日・・・・ 一群は人間の里に着いた。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「今考えてみれば、世界はこのときからゆっくりに対して反乱をおこしていたんだよ・・」 ドスは懐かしくも、悔しいような顔でれいむに話していた。 「ゆ?ということはゆっくりできないことがおこったの?」 「そうだよ・・・・人間の里に着いたまりさ達は・・・・」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 人間の里についたまりさ達群ゆっくりは目の前の光景に驚いた。 風や太陽さんが人間をさんざん懲らしめているはずなのに、全く苦しんでいないのだ!! おかしい、そんなはずはない!!ゆっくりをゆっくりさせるために働く風さんや 太陽さんが全然人間さんを懲らしめていない!! なにやっているのぉぉぉぉ!!早くこらしめてよぉぉぉぉぉ!!! もういいよ!!働く気がない風さんや太陽さんのかわりにゆっくりが すこしだけゆっくりしないで働いてあげるよ!!終わったらゆっくりさせなかった分だけ 働いてね!! 長はそう考え、群れゆっくり達に指示をだした 「ゆぅぅぅ!!みんな!!風さんや太陽さんが全然ゆっくりをゆっくりさせるために働いていないよ!! 働かない怠け者の代わりにゆっくりが少しだけゆっくりしないで人間を懲らしめるよ!! ゆっくり準備をしてね!!」 群れゆっくりは一瞬怒った顔をしたが、すぐにいつもの顔に戻り、石を加えて近くにいた人間に 近づいて行った。 村の入口につくやいなや、長は近くにいた人間を呼びつけた。 その男は偶然なのか、れいむをボロボロにした張本人であった。 「そこの人間さん!!ゆっくりこっちを向いてね!!」 長の叫び声に男は気づいた 「ん?・・・・・ゆっくりの大群かよ・・・・。あのれいむ、仲間にこの場所を教えたな、ったく」 長は男の会話に気がつかなかったらしく、そのまま剣幕な顔で続けた。 「なんでれいむをゆっくりさせなかったのぉぉ!!ゆっくりをゆっくりさせるのが仕事でしょぉぉ!!」 「はあ?なんで俺がゆっくりをゆっくりさせなきゃいけないんだ?」 「ゆっくりをゆっくりさせるのはこの世界の仕事なんだよ!!まりさ達は寛大だから いま謝ってれいむやまりさ達をゆっくりさせたら水にながしてあげるよ!! そうだね、手始めにあの美味しそうなご飯をもってきてね!!人数分だよ!!」 そういって、男が育てていた野菜をよこせと要求してきた だが、男はわざわざゆっくりに合わせる必要などないため、答えはもちろん 「やるわけないだろうが!!」 「どぼじでぇぇぇぇ!!!」 「あれは俺が育てた野菜だ。それを自分のものだとぬかして食べようとするゆっくりを ボロボロにしたり、家を乗っ取ろうとするゆっくりをボロボロにして何が悪い。」 長は顔を真っ赤にした 「なにいっでるのぉぉ!!ゆっくりをゆっくりさせるのが義務でしょぉぉぉ!!! ゆっくりのために働くのがしごとでしょぉぉぉ!!風さんや太陽さんだってゆっくりのために 働いているんだよぉぉぉ!!それなのになんで人間だけさぼるのぉぉぉ!!」 「そんなもん聞いたことがない。思い上がりなら自分の群れの中だけでやってろ!!」 「ゆぎぃぃぃぃ!!ゆっくりせいさいずるよぉぉぉぉ!!みんな!!いくよ!!」 この言葉を合図に、ゆっくりの投石攻撃が始まった。 ゆっくりをゆっくりさせる仕事を放棄した虫さんに制裁するために日頃から練習していた投石攻撃 これで怠け者を制裁するよ!! ゆっくり達はそう考えていた。 だが、男は石をぶつけられ、切れた。 「ざけんじゃねえぞ饅頭どもがぁぁぁぁ!!!」 男は手にしていた鍬の刃を長まりさめがけて振りかぶった。 まりさは鍬の刃をもろにくらい、その場で死んだ 「人が優しくして付き合ってやったら石投げてきやがって!!もういい!!皆殺しにしたらぁ!!」 一方的な虐殺が始まった。 あるゆっくりはふざけるなと叫びながら体当たりをするも鍬に潰され、あるゆっくりは 子を守ろうとしてわが身を盾にし、鍬で親子もろとも死んだ。 あのまりさはなんでこんな事になったのか分からず、目の前の光景にただ呆然としていた。 なんでゆっくりを殺すの?やっちゃいけないことなんだよ?なんで?なんでぇぇぇ!! 「なんでごんなごどずるのぉぉぉぉぉぉ!!!!」 その刹那!!まりさめがけて鍬が襲う。だが、まりさは何かの体辺りを受けた。 母まりさが体当たりをしてまりさの身代りになったのだ。 母まりさは核を寸分違わずりょうだんされていたためか、何一言も残さず、その場で息絶えた。 「お、お、おおお、おおお、おおおがあざぁぁぁぁぁぁぁ!!」 まりさは叫んだ。怒りのあまりに体当たりをしようとしたが、誰かがまりさを掴んだ。 見知らぬ群れのゆっくりれいむだった 「おちびちゃん!!おかあさんはかわいそうだけどこんなところで死んじゃダメ!!」 そういうとまりさを咥えたまま森の方へ駆けて行った。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「お母さん・・・かわいそうだね・・・」 幹部れいむはドスに同情した。 ドスは気にしないそぶりを見せ、話を続けた 「ある意味、本当に大変だったのはこの後だったよ・・・。」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「ゆがぁぁぁぁぁ、妹をばなぜぇぇぇぇぇ!!!」 「おねえぢゃぁぁぁぁん!!だずげでぇぇぇぇぇぇ!!!」 人間の追撃を命からがら逃れたものの、助かったゆっくり達は特に策もないため、お家に一旦引き返す 事にした。 だが、来る道中にはいなかった動物達が負傷したゆっくりから放たれる甘い匂いにひかれてきたのだ。 今まりさの目の前では、妹のまりさが犬に咬みつけれていた。 「おねえじゃぁぁぁぁぁん!!ばりざ、ばだじにだぐないぃぃぃぃぃ!!」 「大丈夫だよ!!おねえじゃんがだずげるよ!!」 まりさは必死に体当たりを仕掛けるも、犬には何のダメージがなく、ただ辺りにまりさの 悲鳴が響きわたるのみであった。 他の生き残ったゆっくり達は突然の襲撃者に驚き、まりさを置いてどこかへと逃げて行った。 そして時が流れ、犬は体当たりをしかけるまりさに飽きたのか、まりさを無視して妹まりさを 咥えたまま走り去っていった 「おねえじゃぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・」 これが妹の最後の言葉となった。 取り残されたまりさは込み上げる感情を必死に抑えた。 まだ何かが襲ってくるかも知れなかったからだ。 だが、目から涙が止まることなく流れていった。 どうにか心を落ち着かせたまりさは4日かけてきた道をたどり、群れに戻ったが そこは地獄となっていた。 先に帰ってきたゆっくりの傷口から流れる餡子やクリームの匂いにひきつけられてやってきた 動物達が群をおそったのだ。 いままでこの群れに動物が襲ってこなかったのにはこの群れ自体が非常に幸運だったのもあるが、 なによりまともに餡子やクリームを流失するようなケガを負ったゆっくりが いままであまりいなかったからだ。 だが今回の場合、まりさを置いていったゆっくり達が先に帰り着いたはいいが、道中さまざまな 動物達がゆっくりを襲い、ほとんどのゆっくりが負傷したのだ。 その負傷したゆっくりから漂う大量の甘い匂いが今までよりつかなかった動物達を 招き入れる形になったのだ。 まりさは必死になって生きているゆっくりを探し始めた。 家に残ったお父さんれいむと妹達、長の奥さんのパチュリー、みょん、友達のちぇん みんな死んでいた。 一匹残らず、群れのゆっくりは死んでいた。 「ゆ・・・ゆ・・・ゆ・・・・・ゆがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」 まりさは叫んでいた。 ゆっくりをゆっくりするために肝心な所で怠けた風や太陽さん!! ゆっくりをゆっくりさせるどころかゆっくりを殺す人間!! 傷ついたゆっくりを襲う極悪非道な動物さん!! 復讐してやる、復讐してやる!! ゆっくりをゆっくりさせる仕事を放棄した怠け者を、ゆっくりをゆっくりさせない鬼畜どもを 地獄に叩き落としてやる!! こうして、一匹のAVENGER(復讐者)が誕生した。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「それからが苦労の連続だったよ・・・・。何度も群れを作って、何度も捕まって、 何度も人間にゆっくりできない目にあったり・・・」 「ゆぅぅぅ、大変だったんだね・・・・・」 ドスは暗くなり気味な顔でれいむにうなづいた。 「でもね、そんなドスについに転機が来たんだよ!!」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー それは、まりさがドスになり、これで何度目なのかわからない敗北を迎え、 絶望し、うちひしがれていたときだった。 「なんで、なんでこんなに頑張っているのに人間さんを制裁できないのぉぉぉ」 「それは世界がおかしいからよ」 ドスは誰かの声に驚き、声の主の方を振り向いた。 そこにはいままでみたこともないゆっくりがいた。 とても小さく見えたが小さいわけではないようだ。捕食種の一種だとも思ったが見たこともない。 どのゆっくりにもあてはまらないゆっくり・・・それが今目の前にいた。 「世界がおかしい?・・・・どうゆうこと?ゆっくり説明してね!!」 「いいわよ」 ドスはこの異形のゆっくりの目を見た瞬間、恐怖を感じた。 このゆっくりから何か禍々しいものを感じるよ。恨み?悲しみ?それに近いものを感じるよ でもなにより、このゆっくりは・・・この世界すべてを憎んでいる!! 「世界は本来ゆっくりをゆっくりするために存在していた。そうでしょう?」 「そうだよ!!」 ドスはうなづいた 「その世界がゆっくりを虐めだしたのよ。ゆっくりがゆっくりを平気で殺せるようにしむけ 他の動物や現象がゆっくりを虐めるように仕向けたりして、世界がゆっくりに対して反乱を 起こし始めたのよ。」 「ゆぅぅぅぅ!!!そんなの嘘だよ!!お母さんは言ってたもん!!世界はゆっくりを ゆっくりさせるためにあるって!!そんなデタラメ・・」 「じゃあ私は何?」 異形のゆっくりはドスに割り込んだ 「私はこの姿で生まれてきた。お父さんはお母さんを捨てて、お母さんはそんな私を育てるために いっぱい無理して美味しいご飯を集めたのが禍いして死んだわ。 それから私は仲間のはずのゆっくりにゆっくりできないという理由で虐められてきたわ。 何も悪いこともしていないのによ。それから今に至るまで、私は通りすがりのゆっくりから ゆっくりできないという理由から虐められてきたわ。ゆっくりできないという理由でよ。 そのゆっくり達がなんでそんな事をするのか、それは簡単よ。世界がゆっくりさせてくれないからよ 世界がゆっくりをゆっくりさせて、満ち足りているはずなら私を受け入れてくれるはずよ。 なのに私を拒絶する。だから私は世界を憎む。ゆっくりをゆっくりさせない世界を私は憎む。 これでもデタラメなの?」 ドスはこのゆっくりの言い分が正しいように感じてきた。 確かにゆっくりを追い求めて自滅していくゆっくりが最近増えてきたよ。 それも全て世界のせい?ならやることはただ一つしかないよ 世界を・・・・制裁するよ!! 「そう、分かったのね。本当の敵が。」 「ゆ!!分かったよ!!本当の敵が!!」 ドスと異形のゆっくりは互いの顔を見た。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「これがこの「ビッツ」を作った経緯だよ」 「ゆ~~、すごいゆっくりなんだねそのゆっくり!!でもどのゆっくりか分からないの?」 「今考えてみてもわからないよ!!でもね、人間と少し似ていたような気がするんだけど・・ そんなわけないよね!!」 ドスはこの異形のゆっくりとの出会いからこの「ビッツ」を作りだした。 あの異形のゆっくりとはそれ以来一度も会ったことはなかったが、 ドスは今もどこかで世界を憎んでいるのではないかと考えていた 「ところでれいむ、インスピレーションは沸いた?」 「ゆ!!もちろんだよ!!インスピレーションもやる気も一杯だよ!! じゃあドス!!昔話ありがとうね!!」 あの異形ゆっくりとの出会いがなかったら 「じゃあがんばってね、れいむ!!」 あの晩に会わなかったら 「ゆし!!ドスもがんばるぞ!!」 ゆっくりの悲鳴がこんなにも聞こえることはなかっただろう・・・・・ あとがき う~~~~ん、正直どうしよ!!なんかフルボッコされそう・・・・・。 作品がクロスされたことに舞い上がって調子こいたら・・・こんなすさまじい出来に・・・。 まあいいか!! 作中にでた異形のゆっくりですが、チル裏でちらっとだけ出た内容を元に作りました。 次回から本編を進めていきます。 ゆっくりAVENGER このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2184.html
「ゆっへっへっへ、これだけあれば冬もゆっくりできるんだぜ!」 朝からの初雪で白く染まった人里外れの森。 大木の根元を掘り下げた洞窟で少し大きめのゆっくりまりさは高く詰まれた食料を前に下卑た笑みを浮かべていた。 「ゆっ。 じゃあれいむたちもう人間から食べ物を取ってこなくていいんだね?!」 「ああ、いいぜ。 これだけあればこの冬も越せるんだぜ。」 この洞窟にはこの少し大きなゆっくりまりさとその家族と他にゆっくりれいむの家族が住んでいた。 ただ数も多く、身体も皆大きいまりさの家族が穴の中心で踏ん反り返っているのに大して、れいむの家族は部屋の隅でお互いを寄せ合うようにしている。 この住処の力関係は歴然だった。 「やったねおかあしゃんこれであんしんしてゆっくりできるよ!」 とはいえこれでこの冬は一安心だと思ったのか、れいむの家族も安堵していた。 「ああ、ゆっくりできるぜ! ただしお前らは外でだけどな!」 「ゆっ!?」 言うが早いかまりさの家族は総がかりでれいむ達を体当たりで外にはじき出してしまった。 このまりさ一家、秋の終わりにこのれいむ一家の住んでいた洞窟に入り込んできて我が物顔で居座ると、 その大きな身体でれいむ一家を脅しては自分たちの食料を集めさせていた、いわゆるゲスまりさと呼ばれる種類であり、さらに最近ではもっと美味しいものをと言い出しては危険な人里から人間の食料を調達させていた。 「お前らはもう用済みなんだぜ! そこでゆっくり凍え死ぬといいんだぜ!」 『ゲラゲラ!』 ゲスまりさ一家は洞窟の入り口でそんな勝ち誇り、下品な笑いを吐いている。 れいむ一家は仕方なく雪の中せめて、住処だけでも見つけられないかと洞窟を後にした。 一方人里。 「かさはいらんかね~ かさはいらんかね~ 丈夫なかさだよ~」 年の瀬で皆忙しく買い物をする中、傘を売る老人がいた。 もっとも忙しい年の瀬、雪が降り出しているとはいっても今傘を買おうなんて思う人間はいない。 それでも老人は自分の年の瀬の用意をしなければと懸命に声を出しながら商店街を歩いていた。 …と、突然肩を乱暴にどかされ足腰の弱い老人はそのまま転倒してしまった。 「おいジジイ、マジ邪魔なんだけど。」 雪に倒れた身体を持ち上げて声のする方を見ると食料を乗せた荷車を引く青年の姿がある。 「へえ、すみませんでさぁ。」 この青年は里の庄屋に奉公に来ていたが素行も悪く、問題ばかり起こす事で有名だった。 とは言え忙しい年の瀬。 そんな青年でも何とか使わなければ手が回らないと、庄屋の番頭は仕方なく青年を買い物に行かせていた。 「はあ? マジすみませんじゃねえよこのボケ!」 「ぐうっ!」 この寒い中使いに行かされ、重たい荷車を引かされていた青年は機嫌が悪く、その捌け口を蹴りという形で老人にぶつけた。 もっとも、奉公に来ているからには仕事をこなすのは当たり前。 機嫌を悪くする時点でどうかしているのだが…。 「たくっ、傘なんざマジ売れもしねえのに歩いてるんじゃねえよ、マジ邪魔だっつーの。」 トドメとばかりに痛みで動けない老人に唾を吐いて尚もブツブツ言いながら去っていった。 人間にもゲスはいる。マジで。 しかし、確かに傘が売れないという点は青年の言うとおりだ。 老人は起き上がるとトボトボと商店街を後した。 「おかーしゃんさむいよお…」 「ごめんね、ゆっくりがまんしてね。」 激しさを増す雪の中、れいむ一家は住処も見つけられず、しだいに降り積もる雪に体力を奪われ、力尽きようとしていた。 「おや、ゆっくりかい。 こんな雪の中に何でまた…。」 人間だ、相手は老人だが今の自分達は戦うことは愚か逃げる事も出来ない。 れいむ一家は死を覚悟した。 老人は百姓である。 ゆっくりと言えば百姓にとっては田畑を荒らされるので目の敵なのだが、 この老人の畑はゆっくりの生息地からは遠かったので特に荒らされたりすることも無く、老人はゆっくりにそれ程嫌悪を抱いていなかった。 だからこれが普通の青年や他の農家だったらトドメを刺している所だが、元々人が良く、心優しい老人はそうはしなかった。 「ゆっくりと言えどこんな雪の中じゃ寒いじゃろうて、こんな物でよければどうじゃろうか?」 それどころか彼はれいむ達に頭の雪を払いながら売れなかった傘を被せていく。 散々いたぶられて殺されるかと思っていたれいむ達は予想外の老人の行動に呆然とし、全員に傘を被せてくれるまでじっとしていた。 幸いある程度大きくなったれいむ一家は全員サイズも違わず、傘はいい具合に頭を覆ってくれる。 「おじいさんありがとう!」 「おじいさんはゆっくりできるひとだね!」 れいむ達のお礼を聞いて老人は満足そうに笑うと、雪の中姿を消した。 「あークソ、マジだりいよ。 あのジジイもうちょっとマジぶん殴っておくんだったなあ。 つーかあの庄屋のオヤジとかありえねえだろマジで。 マジこんな雪の中使いに行かせんなつーの。 マジさっさと死ねや。」 商店街から庄屋の家に向かうには人通りの少ない人里の端のを進まなければいけない。 青年は相変わらずやたら「マジ」の入った頭の悪そうな文句を一人垂れ流しながら荷車を引いていた。 ガコンッ 「ん?!」 唐突に荷車に違和感を感じ、青年が後ろを見ると荷車がかなり傾いている。 雪の中、積雪に隠された岩に乗り上げたのだろう。 普通ならこんな物に気づかないワケ無いのだが独り言に夢中だった青年は気づかず、荷車は今にも横転しそうな所だった。 「ちょっ、うわマジやべえって! うわ…!」 そんな倒れた荷車の角に頭をぶつけて青年は気絶してしまった。 傘を貰ったとは言えれいむ一家の事態はそれ程好転しない。 住処が見つからない以上ほんの少し死期が伸びたに過ぎなかった。 「ゆっ、おかーさんあれ何?!」 視界の悪い雪の中子供の一匹が青年の倒した荷車を見つける。 幸いにも青年はまだ気絶していた。 「おかーさんごはん一杯だよ!」 「ゆっくり運び出そうね!」 れいむ達は思わぬ幸運にはしゃぎながら、横転して荷車から落ちた大量の食べ物を寄り添って使える面積を大きくした頭の上に乗せた。 傘は一匹だと斜めになっているので物を乗せられないが、何匹も寄り添えば元々面積は広いので多くのものが運搬出来る。 長い間ゲスまりさにこき使われていたれいむ達は運搬に慣れていたのでそういった知恵も働いた。 「ってててて… マジ(い)ってえわ。 何なんだよマジで…ってうおい! マジどうなんってんだよ?!」 雪の中目を覚ました青年が荷車を見ると荷物がはほぼ全て無い。 急いで辺りを見ると雪の中帽子に荷物を載せて遠ざかるゆっくりの影があった。 「てめえらマジなにやってんだよ!? オイ、マジ待ちやがれ!」 急いで後を追おうとするが荷車に着物の一部が挟まって中々起き上がれない。 落ち着いてやれば簡単に外れるのだが半ばパニック状態の青年にそれはマジ無理な相談だった。 「くっそ、マジぶっ殺す! マジ一匹残らずぶっ殺してやっからマジ覚えていろよ!」 雪の中後ろからする青年の憎悪の声を振り切り、落ち着いたところでれいむ達は休む事にした。 大量の食べ物は手に入ったがこのままこれを持っていても住処がない以上どうしようもない。 「おかーさん、このままじゃれいむ達ゆっくり死んじゃうよ!」 「そーだよ、だから死ぬ前にせめてゆっくりおなか一杯になって死にたいよ!」 子供たちに言われ母れいむは考えた。 ここで食料を食べ続けても雪がしのげない以上はいずれは死ぬ。 それも食料がある分ゆっくりと凍え死ぬだろう。 ゆっくりするのはいい事だがなるべくなら自分達も子供達も苦しまないであの世に行きたかった。 物を食べれば半端に体力が続いて苦しむことは母れいむには分かる。 「ゆっくり待ってね! この食べ物はあのやさしいおじいさんにゆっくり届けてあげよう!」 「ゆっ! おかーさんどうして?!」 「そーだよれいむ達どうせ死ぬならゆっくりお腹一杯食べて死にたいよ!」 「ゆっくり考えてね! ゆっくりいい事をすればてんごくに行けるんだよ! そうすればあの世で一杯ゆっくり出来るんだよ!」 「ゆっ、そうなの?!」 「じゃあみんあでいいことしてゆっくり天国にいこうね!」 「お帰りアンタ。 どうだい傘は売れたかい?」 「いや、それがのう…。」 雪の中家に着いた老人は妻の老婆にゆっくりの一家に傘をあげてしまった事を話した。 「すまないねばあさん。」 「何言ってんだい。 どうせ売れなかったら邪魔になるだけなんだからあたしゃ何にも言わないよ。 それにアンタがそれでいいと思ったんだからあたしも悪いなんて思わないさ。 何、年の瀬は贅沢出来なくても冬の間の買い置きは十分。 二人でゆっくり年越ししようじゃないか。」 子にも恵まれず寂しく年を越すよりはせめて贅沢にと二人で作った傘を売りに行った老人は、 それをゆっくりにあげてしまった事を咎められると思っていたが、老婆はその選択をやさしく受け入れてくれた。 自分にはこの妻がいれば幸せなのだと涙する老人に 「いやだよアンタ年甲斐もなく泣いちゃって。」 と笑う老婆。 そんな暖かな老夫婦の家の戸を叩く音があった。 「おや、誰だろうね、こんな雪の中…。」 老婆がいそいそと戸を開けるとそこには 『ゆっくりしていってね!』 「殺す!マジ殺す! マジ一匹残らず殺してやるかんな、あのマジクソ饅頭が!」 庄屋の番頭にこっぴどく叱られ、腹いせにあのゆっくり達に復讐してやろうと雪の森を歩く。 青年には心当たりがあった。 最近人里で食料が盗まれる事が多い。 現場の様子からして犯人はゆっくりで、住処の検討も着いているからそれを掃討しようという話を青年は知っていた。 話の内容から巣の位置もそれなりに見当がつく。 マジで理不尽な怒りを燃え滾らせる青年はズカズカと雪の振る森を歩いていった。 「む~しゃむ~しゃしあわせ~♪」 れいむから奪った巣の中ゲスまりさ一家は早速食料を食い漁っていた。 「それぐらいにしておくんだぜ! 沢山あるけどせつやくしなきゃまた誰かに取りにいかせなきゃならないんだぜ!」 「ゲラゲラ、あんなの簡単なんだぜ!まりさ達は無敵なんだz…ゆべっ!」 「マジ見つけたぞオラア!」 突然洞窟に青年が入り入り口近くのまりさを蹴り飛ばして壁に餡子をぶちまけた。 「ゆっ、おにいさんここはまりさ達の…ゆぶえ!」 続けて抗議しようとした二匹目を踏み潰す。 「マジるっせえよこのクソ饅頭が! マジテメエらだろ俺の荷物や里で食いモン盗んでたのはよぉ!」 「ゆっ、それは違うんだぜ! 盗んだのは全部れいむ達なんだぜ! まりさは盗んでないんだぜ、分かったらゆっくりあやまっておかしを…ゆぎぎぎ…ゆぎあ!」 更に弁解と謝罪の要求を始めたまりさをマジ二つに引き裂いた。 「はあ?マジ何言ってんのオマエ。 俺マジお前らが逃げてく所見ているんだけど? 帽子被っているのなんてマジお前らしかいねえだろうがよ! しかもマジ何よその食い物、マジ全部里のモンじゃねえか! わかったらマジ死ねやゴルア!!!!」 「ゆげええええ!!! なんでなんだぜえええええ!!!!!!」 雪はすっかり溶け、レティも姿を消した頃、百姓夫婦と共に農作業をするゆっくりれいむ一家の姿があった。 「おじいさん、これ何処におけばいいの?!」 「ああ、それはこっちに。 ああ、そこはもうそれぐらいでいいじゃろう、あっちにお茶菓子用意しておいたからゆっくり休みなさい。」 『ゆっくり了解したよ!』 「おじいさん達も一緒にゆっくりしようね!」 元々寂しかった老夫婦は雪の中恩返しに重たい食べ物を運んできてくれたれいむ一家を受け入れ、正月をにぎやかに過ごした。 れいむ一家はその後老夫婦の農作業を手伝いながらゆっくりと充実した日々を過ごしている。 運搬が得意で虐げられて来た為か根性とモラルが備わったれいむ一家は老人達にとっても孫のような存在になった。 老夫婦にとっても身の回りがにぎやかになり、寂しくはない。 「はるですよ~♪」 幻想郷の春は妖精リリーの能天気な呼び声で始まった。 このSSに感想を付ける